厚労省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を確認!2022年4月より中小企業でも施行されるパワハラ防止法対応に

2022年4月より、中小企業でもパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が施行されます。職場内の「ハラスメント」というと、会社内で上司から部下に行われる身体的・精神的攻撃等が真っ先に思い浮かびますが、実際にはセクハラやマタハラ、パタハラ等、様々な形態があります。企業においては、今後こうしたあらゆるハラスメントに対して防止措置を講じていくことになりますが、対応に向けた準備は万全でしょうか?厚生労働省からは、職場のハラスメントの一形態である「カスタマーハラスメント」への対策マニュアルが公開されていますのでご確認ください。

パワハラ、セクハラに次いで多い、企業における「カスタマーハラスメント」

「カスタマーハラスメント」とは、顧客等からの暴行、暴言、脅迫、不当な要求等を伴う不当な迷惑行為のこと。厚生労働省の調査によると、労働者から会社に寄せられたハラスメント関連の相談のうち、パワハラ(48.2%)、セクハラ(29.8%)に次いでカスハラは19.5%と比較的多いことから、数あるハラスメントの中でも特に対策を講じるべき問題であることが分かります。

企業におけるカスタマーハラスメントへの対処法

このたび厚生労働省が公開した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」では、実際に企業で起こった事例を参考に、カスタマーハラスメントを想定した事前の準備、実際に起こった際の対応等、カスタマーハラスメント対策の基本的な枠組みが解説されています。今後、各現場での対策を具体的に検討していく際の参考になるはずです。

カスタマーハラスメントの形は多種多様

カスタマーハラスメント対策を考える上では、大前提としてどのような行為がカスタマーハラスメントに該当するのかを労使が正しく把握しておくことが肝心です。厚生労働省によると、カスタマーハラスメントの定義は以下の通りです。

顧客等からのクレーム・言動のうち
✓ クレーム・言動の要求の内容の妥当性に照らして、
✓ 当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、
✓ 当該手段・様態により、労働者の就業環境が害されるもの

「妥当性」とは、提供する商品やサービスの瑕疵・過失の有無、要求する内容と商品・サービスとの関係性により判断します。また、「社会通念上不相当な手段・様態」とは、身体的・精神的な攻撃、継続的かつ執拗な言動、拘束的である、差別的である等の例が挙げられます。いずれも、顧客であるという立場を利用し、威圧的な態度をとったり、過度な要求をしたり等が該当します。以下は、小売業や飲食サービス業、宿泊業、運輸業等で実際に生じたカスタマーハラスメントの事例です。


御社では、どのような形のカスタマーハラスメントが多く発生しているでしょうか?どのような問題に対して重点的に対策を講じるべきなのかが把握できれば、現場は断然対策を講じやすくなります。

企業におけるカスタマーハラスメント対策の流れ

以下は、マニュアルで紹介されているカスタマーハラスメント対策に向けた事前準備、実際に起こった際の対応手順です。各項目の詳細は、マニュアルにてご確認ください。

事前準備

① 事業主の基本指針・基本姿勢の明確化、従業員への周知・啓発
② 従業員のための相談対応体制の整備
③ 対応方法、手順の策定
④ 社内対応ルールの従業員などへの教育・研修

カスタマーハラスメントが起こった際の対応

⑤ 事実関係の正確な確認と事案への対応
⑥ 従業員への配慮措置
⑦ 再発防止のための取り組み
⑧ 相談者のプライバシー保護、不利益取り扱いの禁止等

参考:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル

ハラスメント対策に対し、もっと前向きに、主体的に

カスタマーハラスメントを始めとするハラスメント対策は、法的に義務化されたから行うのではありません。企業として常に本来注力すべき業務に集中するため、従業員のパフォーマンスを最大限に高めるため、そしてすべての顧客が質の高いサービスを受けられるために、講じておくべき対策です。「法的に対応しなければならないこと」ではなく、企業のリスク管理の一環として、前向きに、主体性を持って取り組みたいですね。今一度、ハラスメント対策の必要性、具体的な措置に目を向けましょう。

関連記事:『2020年6月施行「パワハラ防止法」対応の第一歩は「意識改革」

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