日頃から長時間同じ姿勢を取りがちなデスクワーカーにとって、肩こりや腰痛、目の疲れはもはや「職業病」と言っても過言ではありません。とりわけコロナ禍以降、在宅ワークやオンライン会議が普及し、まずます深刻化する運動不足から慢性的な疲労感に悩まされる人が増えているそうです。
デスクワーク特有の疲労は、日常の工夫で改善できます。今号では、一般社団法人日本人間工学会が公開する「実践したい7つの人間工学ヒント」より、デスクワーク特有の疲労対策に役立つノウハウをご紹介しましょう。
目次
眼精疲労軽減と生産性向上のために、心がけたい「20-20-20ルール」
一人で黙々と仕事をしていると、つい時間を忘れてパソコンの画面に向かってしまうことも珍しくないのではないでしょうか?長時間、画面と向かい合って同じ姿勢での作業が続くと、目が疲れたり、身体が固まったような感覚に陥ったりして、やがては健康上の問題につながることがあります。
こうした状況を改善するために、ヒント集では以下の工夫を提唱しています。
① 「情報機器を使用する際、休憩を取るためのリマインダーとして20分ごとにアラームの設定」を推奨
② 休憩時には「20秒間、20feet(約6m)以上離れたところを見る」ことで眼精疲労軽減を図るべき
③ 「長時間座っていたなら立った姿勢をとること」で筋⾁・運動器系の不快感を軽減させる
集中していると、20分はあっという間に過ぎてしまうため、いちいち休憩をとることが煩わしく感じられるかもしれません。しかしながら、適度にブレイクを入れてこまめに疲労を軽減させることは、生産性向上にもつながります。ぜひ、デスクワーク時の心がけとして覚えておいてください。
頭痛、肩や首の痛みにお悩みなら、「Stop-Drop-Flop(ストップ・ドロップ・フロップ)」
「Stop-Drop-Flop(手を止めて、置いて、ダラダラして)」は、スマホやタブレット、パソコンを使う際の小休止の取り方を示すキーワードです。パソコン入力時の⼀区切りに、いったん手を止めて端末をテーブルに置き(またはパソコンのキーボードから離れて)、肩をリラックスさせて両手を横に振る等のストレッチを行うようにしましょう。
また、上図は、肩のストレッチとして紹介されている「ネック・リトラクション(首の後退運動)」です。「ネック・リトラクション(首の後退運動)」は、頸部の痛みや機能障害のある患者を治療するために⼀般的に行われている理学療法の手法とのこと。あごを引いた状態で、頭ごと後ろへ水平に動かす動作です。通常のストレッチと併せて、日頃から取り入れたいですね。
「座り姿勢10分+立ち姿勢5分」で作業にメリハリ
また、そもそも「座ったまま仕事」を見直してみることも有効です。長時間同じ姿勢を保つことで、どうしても身体に負担がかかりやすくなり、肩こりや首、腰の痛みを誘発する原因となります。この点、座り姿勢と立ち姿勢を交互に行うことで姿勢変化を促し、適度に身体を動かすことであらゆる健康リスクを軽減させると良いでしょう。なお、座っているときも立っているときも、作業面の高さは肘の高さまたは少し下になるようにすると、無理のない姿勢を保つことができます。
出典:
一般社団法人日本人間工学会「タブレット・スマートフォンなどを用いて宅ワーク/在宅学習を行う際に実践したい7つの人間工学ヒント」
デスクワークに従事する従業員に、「休憩」「ストレッチ」「適度な運動」のススメ
デスクワークに伴う目の疲れや首・肩・腰の痛み等、健康リスク発生が問題視されています。働く人の健康管理は、個人任せではいけません。会社は、労働者への安全配慮義務として、適宜、デスクワークに従事する労働者の健康状態の把握、健康管理に関わる助言指導を忘れずに行ってまいりましょう。今号でご紹介した休憩やストレッチを推奨する他、従業員が気軽に運動できる様なスペースや器具の確保等に取り組む企業もあるようです。御社で無理なく対応できることに、目を向けてまいりましょう。