「老後2000万円問題」対策に!公的年金受給額をシミュレーションしよう

報道等で「老後2000万円問題」が取り沙汰される中、社会保険分野における世の中の最大の関心事といえば、おそらく将来受け取ることのできる「年金」についてでしょう。年金に関しては、支払っている保険料に対して将来もらえる年金額が分かりづらいこと等、何かと不安に思われることもあるかもしれません。こうしたお声を受け、厚生労働省では、将来受給できる年金額をいつでも手軽に試算できる「公的年金シミュレーター」の試験運用を開始しています。

「公的年金シミュレーター」の活用で、将来の年金受給額に具体的なイメージを

2021年12月に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた重点計画」において「2020年年金改正法の分かりやすい周知」「働き方・暮らし方の変化に伴う年金額の変化の見える化」が盛り込まれたことを受け、厚生労働省は「公的年金シミュレーター」を開発し、2022年4月25日より試験運用をスタートしています。

「公的年金シミュレーター」の使い方は?

「公的年金シミュレーター」の使い方はシンプルで、一般の方でも簡単に年金額を把握できるような仕様になっています。

① 誕生月に届くねんきん定期便に記載された二次元コードをスマホ等で読み取る
② 表示された画面で生年月日等の必要事項を入力する
③ 表示された画面から、将来の年金受給額のシミュレーションを確認

参考:厚生労働省「スマホで簡単に年金額試算「公的年金シミュレーター」を4月25日から試験運用を開始します!

「公的年金シミュレーター」では、試算条件によって年金額が過大・過小に算出される場合があるとのことですが、気軽に確認をする分には参考にできる部分も多いのではないでしょうか。より正確な年金見込額の確認をする場合には、日本年金機構の「ねんきんネット」のご活用をお勧めします。

2022年の年金制度大改正を契機に、老後のライフプランに目を向けませんか?

現役世代であれば、「公的年金シミュレーター」の試算結果を受け、これからの努力で将来の年金額を増やしていくことができます。振り返れば、2022年は年金制度の大改正が進められた一年でした。

✓ 老齢年金の繰下げ年齢の上限が70歳から75歳に(繰下げによる増額率上限は84%に)
✓ 在職老齢年金制度が見直され、就労に伴う支給停止額が緩和
✓ 短時間労働者への社会保険適用拡大開始

まずは年金制度を正しく理解し、その上でご自身の老後のライフプランニングをしていきましょう。年金制度を踏まえ、これからどのような働き方をするのが良いか、いつから年金を受給するのかを、前向きに検討していくのが得策です。

「年金がもらえなくなる」は誤解!老後資金を支える一助として前向きに活用を

年金にまつわる懸念として、よく耳にするのが「年金がもらえなくなる」といったお声です。このあたりの真偽がはっきりしないことには、年金制度を前提として老後のマネープランを検討して良いのかどうか、不安になってしまうのも無理はありません。

結論から申しますと、現在、年金保険料を納めている皆さんが年金をもらえなくことはありません。公的年金制度は、将来にわたって制度を維持できるように制度が作られています。制度として、現役世代の保険料が年金受給世代を支える方式をとっているため、少子高齢化の影響を危惧する方もいらっしゃるでしょう。しかし、実際には保険料に加えて国庫負担金(税金)も財源とし、安定的に年金を給付できる仕組になっています。

一方で、年金受給額については、少子高齢化や賃金下落の影響を受けて都度見直されるものです。よって、将来受け取る方の受給額が、現受給者の額よりも減ってしまう可能性は否めません。よって、老後のマネープランとして「年金一本でやっていこう」というのであれば、見直しが必要かもしれません。
現役世代であれば、年金制度自体は一手段として前向きに活用するとして、その他の手段での資産形成、具体的には貯蓄や運用等も組み合わせながら、総合的に老後資産を築き上げていく姿勢が求められます。社会保険労務士は個人向け年金相談も承っておりますので、お気軽にお声かけください。

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