【よくある質問】働き方改革対応の勤怠管理 Q&Aから学ぶガイドライン詳細【労働基準法改正2019】

働き方改革の一環として、今後ますます重要視される「労働時間の適正把握」
時間や場所にとらわれない多様な働き方が注目を集める中、既存の勤怠管理方法を見直す会社が増えています。

働き方改革対応の勤怠管理のポイントについては厚生労働省のガイドラインにて示されている通りですが、このたび、2018年末に発出された通達にてガイドラインに関わる細かな解釈を確認できるようになりました。

参考:
厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
厚生労働省『「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」について_通達_基発1228第16号(労働安全衛生法の解釈について)

事業者が把握すべき「労働時間の状況」とは?

労働基準法には労働時間、休日、深夜業等について規定が設けられており、使用者はその責任として労働時間を適切に管理しなければなりません。「長時間労働の是正」や「休日の確保」の実現が目指される働き方改革においては、事業者が正しく労働時間の状況を把握し、実態に即した形で改善点や取り組みの方法を見出すことが求められます。

Q1. 「労働時間の状況」として、事業者は、どのようなことを把握すればよいか。

A1. 労働時間の状況の把握とは、労働者の健康確保措置を適切に実施する観点から、労働者がいかなる時間帯にどの程度の時間、労務を提供し得る状態にあったかを把握するものである。

事業者が労働時間の状況を把握する方法としては、原則として

*タイムカード、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間(ログインからログアウトまでの時間)の記録
*事業者(事業者から労働時間の状況を管理する権限を委譲された者を含む)の現認等の客観的な記録により、労働者の労働日ごとの出退勤時刻や入退室時刻の記録

等を把握しなければならない。なお、労働時間の状況の把握は賃金台帳に記入した労働時間数をもって、それに代えることができるものである。

ただし、
・管理監督者等
・事業場外労働のみなし労働時間制の適用者
・裁量労働制の適用者
については、この限りではない。

<ポイント>
「労働時間」として事業者が把握すべきは「使用者の指揮命令下に置かれている時間」であり、これは労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんによらず、「実態として労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否か」により客観的に定まるものです。
使用者は最低限、「始業・終業時刻の確認及び記録・保存」に対応しなければなりません。

「自己申告」による勤怠管理の注意点

Q2. 労働時間の状況の把握方法について、Q1に挙げた原則とは異なる「その他の適切な方法」とは、どのようなものか。

A2. 「その他の適切な方法」としては、やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合において、「労働者の自己申告」による把握が考えられる。

その場合には、事業者は、以下のアからオまでの措置を全て講じる必要がある。

ア. 自己申告制の対象となる労働者に対して、労働時間の状況の実態を正しく記録し、適正に自己申告を行うことなどについて十分な説明を行うこと。

イ. 実際に労働時間の状況を管理する者に対して、自己申告制の適正な運用を含め、講ずべき措置について十分な説明を行うこと。

ウ. 自己申告により把握した労働時間の状況が実際の労働時間の状況と合致しているか否かについて、必要に応じて実態調査を実施し、所要の労働時間の状況の補正をすること。

エ. 自己申告した労働時間の状況を超えて事業場内にいる時間又は事業場外において労務を提供し得る状態であった時間について、その理由等を労働者に報告させる場合には、当該報告が適正に行われているかについて確認すること。その際に、休憩や自主的な研修、教育訓練、学習等であるため労働時間の状況ではないと報告されていても、実際には、事業者の指示により業務に従事しているなど、事業者の指揮命令下に置かれていたと認められる時間については、労働時間の状況として扱わなければならないこと。

オ. 自己申告制は、労働者による適正な申告を前提として成り立つものである。このため、事業者は、労働者が自己申告できる労働時間の状況に上限を設け、上限を超える申告を認めないなど、労働者による労働時間の状況の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。

<ポイント>
「労働者の自己申告」による勤怠管理は、あくまで例外的な方法として位置づけられています。これを採用する上では、自己申告による労働時間の適正性に関わる確認を欠かすことはできず、必要な措置が多岐に渡ります。

Q3. Q2に挙げる 「やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合」とは、どのようなものか。

A3. 「やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合」としては、例えば、「労働者が事業場外において行う業務に直行又は直帰する場合」など、事業者の現認を含め、労働時間の状況を客観的に把握する手段がない場合があり、この場合に該当するかは、当該労働者の働き方の実態や法の趣旨を踏まえ、適切な方法を個別に判断すること。

ただし、労働者が事業場外において行う業務に直行又は直帰する場合などにおいても、例えば、事業場外から社内システムにアクセスすることが可能であり、客観的な方法による労働時間の状況を把握できる場合もあるため、直行又は直帰であることのみを理由として、自己申告により労働時間の状況を把握することは、認められない。

また、タイムカードによる出退勤時刻や入退室時刻の記録やパーソナルコンピュータの使用時間の記録などのデータを有する場合や事業者の現認により当該労働者の労働時間を把握できる場合にもかかわらず、自己申告による把握のみにより労働時間の状況を把握することは、認められない。

<ポイント>
業務遂行上、ノートパソコンや携帯電話などのモバイルデバイスの使用が当たり前となりつつある今日では、直行直帰の場合にも「やむを得ず客観的な方法により把握し難い場合」には該当しないケースがほとんどです。よって、事業者は安易に「自己申告」による方法を採用するのではなく、可能な限り「客観的な方法による労働時間の状況の把握」に対応する必要があります。

管理監督者等は勤怠管理の対象となるか?

Q4. 労働時間の状況を把握しなければならない労働者には、裁量労働制の適用者や管理監督者も含まれるか。

A4. 労働時間の状況の把握は、労働者の健康確保措置を適切に実施するためのものであり、その対象となる労働者は、「高度プロフェッショナル制度の適用者」を除き、

①研究開発業務従事者
②事業場外労働のみなし労働時間制の適用者
③裁量労働制の適用者
④管理監督者等
⑤派遣労働者
⑥短時間労働者
⑦有期契約労働者

を含めた全ての労働者である。

<ポイント>
勤怠管理の対象について、しばしば「管理監督者は対象外」などと勘違いされているケースを散見します。この点、「高度プロフェッショナル制度の適用者」以外のすべての労働者について、使用者には労働時間の把握義務があることを心得ておきましょう。

休憩時間を含めて労働時間を管理している場合には?

Q5. 面接指導の要否については、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間(時間外・休日労働時間)により判断することとされているが、個々の事業場の事情により、休憩時間や食事時間(以下「休憩時間等」という。)を含めた時間により、労働時間の状況を把握した場合には、当該時間をもって、面接指導の要否を判断することとしてよいか。

A5. 面接指導の要否については、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間(時間外・休日労働時間)により、判断することとなる。
なお、個々の事業場の事情により、休憩時間等を除くことができず、休憩時間等を含めた時間により労働時間の状況を把握した労働者については、当該時間をもって、判断することとなる。

<ポイント>
1日の労働時間について休憩時間を含めた時間数を把握している場合は、休憩時間を含めた時間数すべてが労働時間とされ、面接指導の要否の判断の根拠となります。

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