7月を迎え、本格的な夏の訪れはもう目前。夏の暑さは年々厳しさを増していますから、一足早く職場の暑さ対策について検討されることをお勧めします。「熱中症予防管理者」を中心に、職場の熱中症予防対策を進めましょう。
目次
職場における熱中症予防対策 チェックリストで御社の取り組み状況を確認
ひと口に「熱中症予防対策」と言っても、具体的にどんなことに取り組めば良いのか分からず、結果的に何も対策ができないケースも少なくありません。そんな時に活用したいのが、厚生労働省が公開するチェックリストです。職場で取り組むべき熱中症予防対策が項目ごとに挙げられているので、各現場で取組状況を自主点検し、できていないことを抽出することができます。
参考:厚生労働省「職場の熱中症予防対策は万全ですか?」
熱中症予防対策の7つの観点
チェックリストでは、休憩場所の整備、労働者の健康管理といった基本的な取り組みから、WBGT値(暑さ指数)の活用といった専門的な手法まで、7つの観点から必要な対策が明記されています。
① WBGT値(暑さ指数)の活用
② 休憩場所の整備
③ 水分・塩分補給
④ 熱中症高リスク者の把握・確認
⑤ 労働者の服装
⑥ 労働衛生教育
⑦ 熱中症発症時の対応の流れ
デスクワークでも熱中症リスクあり
熱中症対策というと、建設業や製造業で多く発生するイメージがありますが、意外にもデスクワーク時にも熱中症リスクはあります。熱中症は、高温多湿な環境下で体内の水分及び塩分のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻したりすることで発症するものです。「節電のため」と冷房の設定温度を高くしたり、「冷気が逃げるから」と換気を怠ったり、作業に夢中になるあまり水分補給を忘れがちになったりすれば、屋内にいても熱中症の発症要件が揃ってしまうことがあります。「ウチはデスクワーク中心だから・・・」と油断することなく、オフィスの空調管理や休憩・水分補給等、職場として行える熱中症予防対策に目を向けましょう。
従業員数50人未満の事業所では、「安全衛生推進者」「衛生推進者」を選任できていますか?
厚生労働省では、熱中症予防の推進役として「熱中症予防管理者」を選任し、労使に対する労働衛生教育や適切な作業管理にあたらせることを推奨しています。近年では、各団体で熱中症予防管理者となるための講習が実施されています。
熱中症予防管理者は、労働安全衛生法に定める「安全管理者」「衛生管理者」「安全衛生推進者」「衛生推進者」が兼任するケースがほとんどですが、小規模の事業場では法定の安全管理者等でさえ適正に選任されていないケースも少なくありません。とりわけ、「安全衛生推進者」または「衛生推進者」は、常時10人以上50人未満の労働者を使用する小規模事業場において選任義務がありますが、現場においては未対応が多いようです。御社では、適正に選任できているでしょうか?
参考:厚生労働省「安全衛生推進者(衛生推進者)について教えて下さい。」
「安全衛生推進者」と「衛生推進者」、どちらを選任すべき?
常時10人以上50人未満の労働者を使用する事業場では、業種により「安全衛生推進者」または「衛生推進者」を選任します。ただし、ただし、衛生推進者の選任業種であっても、安全衛生推進者を選任する方が望ましいとされています。
出典:株式会社ウェルネット「安全衛生推進者・衛生推進者」
「安全衛生推進者」「衛生推進者」選任の手続き
「安全衛生推進者」「衛生推進者」は、都道府県労働局長の登録を受けた者が主催する講習を修了した者、または当該業務担当に必要な能力を有すると認められる者から選任される必要があります。選任時に所轄労働基準監督署に報告する義務はありませんが、安全衛生推進者または衛生推進者の氏名を事業場の見やすい箇所に掲示する等により、労働者に周知しなければなりません。
見直しましょう!熱中症予防対策
厚生労働省が公表する「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」によると、熱中症による死傷者数は例年400~800人の高い数字で推移していることが分かります。熱中症事例の多くが建設業や製造業といった一部の業種で発生している状況ではありますが、暑さ厳しい近年の夏においては、業種を問わず労働者への注意喚起、事業者による適切な対策が必須となります。御社ではどのような取組ができているでしょうか?