【試し出勤とは】休職した社員が復職前に実施する「試し出勤」をご存知ですか?

貴社では、メンタルヘルスに不調を抱えて休職している社員へのケアは十分に行っていますか?
厚生労働省が2018年に実施した労働安全衛生調査では、メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所の割合は56.6%と、全体の6割も満たしていません。
企業はメンタルヘルスに不調を抱える休職者にどのような対策する必要があるのでしょうか。

本記事では、会社が休職者向けに職場復帰前に実施する「試し出勤」についてご紹介します。

メンタルヘルスを取り巻く企業の状況

「身体的な健康」に対して「精神的な健康」をメンタルヘルスと言います。
メンタルヘルスの不調には、うつ病やパニック障害、適応障害などがあげられます。メンタルヘルスの不調を抱える労働者数は年々増加傾向にあり、社会問題となっています。過重労働、職場の複雑な人間関係、パワハラなどのストレスによって、メンタルヘルスに不調をきたす社員に対し企業はメンタルヘルスケアの措置を講じなければなりません。

企業がメンタルヘルスケアを行う重要性

メンタルヘルス不調の社員が出ると、業務に支障が生じメンタルヘルス不調者の人員を補う対応が必要になりますが、企業が抱える問題はそれだけではありません。
メンタルヘルス不調者の発症の原因が業務に起因すると判断され会社の過失が認められれば、安全配慮義務違反となり、労働災害と認定される可能性もあります。
労働災害に認定されると、企業は損害賠償責任を問われるほか、企業の信用も失うことになります。
したがって、企業が社員に対してメンタルヘルスケアを行うことは、企業のリスクマネジメントのうえでも重要なことといえます。

復職前に実施する「試し出勤」とは

企業が行うメンタルヘルスケアの一つに、休職中のメンタルヘルス不調者に対して実施する「試し出勤」があります。
「試し出勤」とは、休職中の社員を職場復帰をする前にリハビリを兼ねて出勤させ、職場復帰を判断するメンタルヘルスケアです。

「試し出勤」には、多様な種類があります。職場には出勤せずに、出勤時間と同じ時間に喫茶店などに向かう「模擬出勤」、自宅から職場までの通勤経路を移動し、職場のエントランスや近くまで出勤する「通勤訓練」、そして実際に職場へ通勤し、短時間勤務から少しずつ勤務時間を長くしていく「慣らし出勤」などがあげられます。

「試し出勤」を行う際の注意点

「試し出勤」制度は、メンタルヘルス不調者が職場復帰をする前に段階的に職場へ慣らしていくことが可能になるため、いきなり職場に復帰させてすぐに症状が再発してしまうなどのリスクを防ぐことができます。
しかし、「試し出勤」制度のルールを労使でしっかりと認識あわせしておかなければ、勤務時間の扱いなどをめぐってトラブルが起きる可能性もあるので、労使間でしっかりルールの確認をしておくことが大切です。

メンタルヘルスの一環としての「試し出勤」

「試し出勤」を行うことで、職場復帰の可否の判断材料が増えます。
また、社員にとっても一定のリハビリ期間が設けられるため、職場への適応がスムーズになります。
メンタルヘルスの不調を抱えている社員の職場復帰を検討する際は、社員一人ひとりに合わせたメンタルヘルスケアの一環として「試し出勤」を実施してみてはいかがでしょうか。

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