派遣労働者に関わる労務関連の各種対応は、派遣元と派遣先で責任区分を明確にしておくことがトラブル回避のポイントです。今号では、派遣先で実施すべき「派遣労働者の労働時間・休憩・休日の管理」について解説しましょう。
目次
派遣先で行うべき、派遣労働者の勤怠管理
既にタイトルに記載している通り、派遣労働者の勤怠管理は派遣先の責任で行われるべき事項です。労働時間把握の具体的な方法は、厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」にある通りで、つまり事業場で直接雇用する労働者への対応と変わりありません。
労働時間の適正把握のために派遣先が講ずべき原則的措置
(1)始業・終業時刻の確認及び記録
使用者は、労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・ 終業時刻を確認し、これを記録すること
(2)始業・終業時刻の確認及び記録の原則的な方法
使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則として次のいずれかの方法によること
ア.使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること
イ.タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること
派遣元での賃金支払い・健康確保措置の適正実施のため、派遣元・先の連携は必須
派遣先は、自社で行った勤怠管理の情報を派遣元と共有します。なぜかといえば、派遣元は給与計算事務や36協定の遵守状況の確認、労働者の健康確保措置に関わる責任を負うからです。派遣先指針において、派遣元と派遣先は、労働時間に関わる連絡体制について事前に取り決めておくこととされています。
派遣元の36協定に従い、時間外・休日労働を
派遣先では、派遣労働者に対して、派遣元の36協定の範囲で時間外・休日労働を行わせることができます。そのため、派遣先は派遣元から36協定の内容について情報提供を受ける必要があります。
万が一、派遣元の36協定の範囲を超えた時間外・休日労働が生じた場合には、派遣先が労働基準法違反に該当したものとされますので注意が必要です。
年次有給休暇の取得ルールは、派遣元・派遣先双方で整備
労働基準法上、年次有給休暇は雇用形態の別を問わず、全ての労働者に与えられている権利です。具体的には、「雇い入れの日から6カ月が経過していること」「算定期間の8割以上を出勤していること」の要件を満たす労働者であれば、誰でも週所定労働日数に応じた年次有給休暇を取得できます。
派遣労働者が年次有給休暇を取得する場合、派遣元で付与された休暇を、派遣先で使うようなイメージとなります。よって、派遣元・派遣先では、あらかじめ派遣労働者の年次有給休暇取得手続きを定めておき、労働者がいつでも取得できるようにしておかなければなりません。
ちなみに、年次有給休暇の取得は、原則として「労働者が希望する時季」に「自由に」できるものとされています。よって、派遣先においては、事業運営上やむを得ない事情がないにも関わらず有休取得の申し出を却下したり、有休消化に理由を問い詰めたりといった取扱いをしてはいけません。
何かと複雑なルールがついて回る、派遣労働者の受け入れ・・・
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