刷新が予定される政府のテレワークガイドライン。テレワーク時に必要な労務管理を総チェック

コロナ禍で普及が進むテレワークについては、「感染症対策」のみならず「働き方改革」の観点からも、引き続き社内制度として定着させたい意向を示す企業が少なくありません。
現状、御社のテレワーク制度の構築は万全でしょうか?新型コロナウイルス感染拡大に鑑み、取り急ぎ設計した制度であれば、折を見てその妥当性を見直されてみる必要があるかもしれません。

政府のテレワークガイドラインが全面的に刷新予定

政府はすでに2018年2月時点で、テレワーク時の労務管理上の対応方法等を示すテレワークガイドラインを策定していますが、こちらが今後改訂予定となっており、新たなガイドライン案が公開されています

ガイドライン案では、単にテレワーク導入時の留意事項を示すだけでなく、テレワークの実施推進や定着を検討する上でも役立つ観点を取り入れられ、ウィズコロナ・ポストコロナの新たな日常、新しい生活様式に対応した働き方に目を向けられるようになっています。以下、各項目のポイントを抜粋します。

テレワーク導入にあたり留意すべき「対象の検討」「企業風土の醸成」

◎ テレワークの対象業務
・一般にテレワークを実施することが難しい業種・職種であっても個別の業務によっては実施できる場合があり、管理職側の意識を変えることや、業務遂行の方法の見直しを検討する
・オフィスに出勤する労働者のみに業務が偏らないよう、留意する

◎ テレワークの対象者
・テレワークの対象者を選定するに当たっては、正規雇用労働者、非正規雇用労働者といった雇用形態の違いのみを理由としてテレワーク対象者から除外することのないよう留意する
・在宅での勤務は生活と仕事の線引きが困難になる等の労働者の場合には、サテライトオフィス勤務やモバイル勤務の利用も検討すべき
・新入社員、中途採用の社員及び異動直後の社員は、コミュニケーションの円滑化に特段の配慮をする

◎ 導入にあたり取り組むべきこと
・不必要な押印や署名の廃止、書類のペーパーレス化、決裁の電子化等が有効であり、職場内の意識改革をはじめ、業務の進め方の見直し
・働き方が変化する中でも、労働者や企業の状況に応じた適切なコミュニケーションを促進するための取り組み
・企業のトップや経営層が理解し、企業が方針を示すなど企業全体としての取り組み

テレワーク導入時に検討すべき「人事評価制度」「人材育成」「費用負担」

◎ 人事評価制度
・企業が労働者に対して求める働き、評価基準を明確にする
・テレワークを実施せずにオフィスで勤務していることを理由として、出勤している労働者を高く評価する、時間外のメール等に対応しなかったことを理由として不利益な人事評価を行う等、不適切な評価をしない
・通常とは異なる状況で人事評価を行うことに鑑み、人事評価の評価者に対しても訓練等の機会を設ける

◎ 人材育成
・オンラインでの人材育成はオンラインならではの利点を持っているため、その利点を活かす工夫を行うことが有用
・テレワーク勤務者が自律的に働くためには管理職による適切なマネジメントが行われることが重要であり、管理職のマネジメント能力向上に取り組むことが望ましい

◎ 費用負担
・テレワークを行うことによって労働者に過度の負担が生じることは望ましくない
・テレワークを行うことによって生じる費用負担について、労使のどちらが負担するか等についてはあらかじめ労使で十分に話し合い、ルールを定め、就業規則等において規定しておく

テレワーク実施に伴う「多様な労働時間制の活用」では、適切な制度運用を

上記の他、労務管理上の観点から言えば、テレワークを実施しやすくする目的で特別な労働時間制の活用を検討することもあるかと思います。例えば、通常の労働時間制度や変形労働時間制を適用する場合には、始業及び終業の時刻や所定労働時間をあらかじめ定める必要がありますが、一方で、必ずしも一律の時間に労働する必要がない場合はフレックスタイム制を適用して労働者ごとに自由度を認めることも考えられます。

また、労働時間の算定が困難となる場合で一定の要件を満たす場合、事業場外みなし労働時間制の導入がなじむこともあるでしょう。このように、テレワーク導入をきっかけに、実情に合った多様な労働時間制の導入に着目する可能性が想定されます。

ただし、特殊な労働時間制にはそれぞれに複雑な導入要件や導入ルールが定められており、これらを正しく理解し、誤運用がないよう留意する必要があります。このあたりの対応についてはどうしても現場のみでは難しいケースが多いため、労働時間制度の専門家である社会保険労務士にご相談いただき、制度設計から実務上の運用を行っていくのが得策です

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新たなテレワークガイドラインでは、労使が使えるチェックリストを新設

今回のテレワークガイドライン改訂では、事業者向けの「テレワークを行う労働者の安全衛生を確保するためのチェックリスト」と労働者向けの「自宅等においてテレワークを行う際の作業環境を確認するためのチェックリスト」が新たに加わる予定です。テレワークを実施するにあたって留意すべきポイントが分かりやすくまとめられ、労使がそれぞれにチェックできます。テレワーク導入時には、ぜひご活用ください。

以上、参考:厚生労働省「テレワークの適切な導入及び実施の推進のためのガイドライン(案)

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HM人事労務コンサルティング 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。 労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。