新年度目前!初めて社員を雇用する会社がやるべき労働・社会保険関連5つのチェックポイント

3月も中旬を迎え、企業においては新年度を迎える準備が着々と進められている頃かと思います。中には、「この4月から初めて社員を雇い入れる」という会社もあると思いますが、いつ、何をすれば良いのか正しく把握できているでしょうか?今号では、初めての雇用に伴い、会社がやるべき労働・社会保険関連の5項目を解説しましょう。

① 「労働条件通知書の交付」は、労働契約の締結時に

初めての雇い入れに際し、まず行うべきは「労働条件通知書の交付」です。労働条件通知書とは、労働者に対して、賃金や労働時間、その他の労働条件に関わる法定の事項を明示するための書類で、原則として書面で交付することになっています。
法律上、労働条件通知書は「労働契約の締結時」に交付するものとされ、「労働契約の締結時」とは具体的には「内定時」との判例があります(最高裁昭和54年7月20日判決、大日本印刷事件)。内定者に対してまだ交付していない場合は、早急に対応しましょう。
明示事項がよく分からない場合は、厚生労働省が公開するひな型を活用されると良いでしょう。会社によっては、労働条件通知書に労使の署名欄を設け、「雇用契約書」という形で交付する場合もあります。

参考:厚生労働省「採用時に労働条件を明示しなければならないと聞きました。具体的には何を明示すればよいのでしょうか。

② 「雇入れ時健康診断」は会社の義務

常時使用する労働者を雇い入れた際、会社は労働者に対して健康診断を行うことが義務づけられています。雇入れ時健康診断の費用は原則会社負担としますが、入社前3ヶ月以内に実施した健康診断書の提出に代えることができます。
短時間労働者を雇い入れる場合でも、以下に該当する労働者は「常時使用する」と判断されるため、雇入れ時健康診断の対象とします。
(1)期間の定めのない契約により使用される者であること。なお、期間の定めのある契約により使用される者の場合は、1年以上使用されることが予定されている者、及び更新により1年以上使用されている者
(2)その者の1週間の労働時間数が当該事業場において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間数の4分3以上であること。

参考:厚生労働省「労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう

③ 遅滞なく「労働・社会保険への加入」を

労働者を雇い入れたら、労働・社会保険への加入手続きを忘れずに行いましょう。「初めは試用期間だから」と、すぐに手続きをしないケースを散見しますが、労働・社会保険への加入は試用期間開始当初から必要となります。
労働者を初めて雇入れた場合に必要となる労働・社会保険手続きは、以下の通りです。

○ 労働保険

  • 労働保険 保険関係成立届・概算保険料申告書
    会社を労災保険適用事業所とするため、及び労災・雇用保険料納付のための手続き
  • 雇用保険 適用事業所設置届
    会社を雇用保険適用事業所とするための手続き
  • 雇用保険 被保険者資格取得届
    従業員を雇用保険の被保険者とするための手続き

参考:厚生労働省「労働保険の成立手続

○ 社会保険

  • 健康保険・厚生年金保険 新規適用届
    会社を社会保険適用事業所とするための手続き
  • 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
    従業員を社会保険の被保険者とするための手続き
  • 「健康保険被扶養者(異動)届」
    従業員の家族を被扶養者とするための手続き

参考:日本年金機構「健康保険・厚生年金保険の届書

④ 意外と忘れがちな「法定帳簿の作成」

「労働者名簿」「出勤簿」「賃金台帳」は「法定3帳簿」とも呼ばれ、法律上、会社には作成義務が課されています。労働者を雇い入れたら、必ずその労働者に関わる法定帳簿を作成しましょう
なお、上記の3帳簿に「年次有給休暇管理簿」も加えて、「法定4帳簿」と表現されることもあります。雇入れ後、有休を付与したら、年次有給休暇管理簿での管理を開始しましょう。

参考:厚生労働省「ととのえましょう! 法定帳簿
関連記事:『労務管理の基本!「法定4帳簿」を整えましょう

⑤ 政府ガイドラインに適合した「勤怠管理」の徹底を

最後に、労働者を雇い入れたら、2019年4月1日から義務化された「客観的方法による労働時間把握」にも確実に対応しましょう。政府ガイドラインでは、使用者が始業・終業時刻を確認し、記録する方法としては、原則、次のいずれかの方法によることとされています。

  • 使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。
  • タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。

参考:厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」

上記のうち、「使用者自らの現認」というのは現実的に考えて困難でしょうから、実態として多くの現場で「客観的な記録」による勤怠管理が必要となります。雇入れに先立ち、勤怠管理への準備はお済みでしょうか?現状未対応の現場は、無料の勤怠管理システム ハーモス勤怠 by IEYASUを導入し、新年度までに対応を進めましょう!シンプルで使いやすい仕様で、従業員の皆さんにストレスなくご活用いただけます。

関連記事:『もうすぐ新年度!担当者がおさえておくべき、従業員の入社手続き

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