本格的な制度導入の一助に!テレワーク就業規則の整備に役立つ手引きを厚生労働省が公開

さて、これまでの記事ではNTTグループや株式会社イトーキの事例を元に、テレワーク制度を主軸としたより柔軟な働き方を解説しました。「出社を原則とする週5日フルタイム勤務」を標準的な社員の働き方としてきた日本企業でしたが、昨今の働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、現場ではこれまでの働き方の「当たり前」を見直す動きが広がっています。
出社を前提としないテレワーク勤務を本格的に導入するためには、既存の就業規則に加え、テレワーク特有の就業ルールについてもあらゆる観点から検討しなければなりません。御社のテレワークを、コロナ禍の一時的な措置から恒久的なワークスタイルへとシフトさせるべく、制度設計に取り組みましょう!

テレワーク勤務規程作成のポイント

多くの企業において、既存の就業規則は、出社勤務を前提とした労働時間制度、労働条件について定められたものと思われます。このような場合、テレワークを実施するにあたり、別途「テレワーク勤務規程」を設け、テレワーク勤務の対象者を限定する、特別な労働時間制度を適用する、中抜けや始業・就業時刻の変更を柔軟に認める、長時間労働防止策を講じる等の取り扱いについて定める必要があります。

とはいえ、「テレワーク導入に伴い、どんなことを決めたらよいか分からない」「専門知識に乏しく、自社での作成が難しい」といった場合もあろうかと思います。このようなケースでは、一度、厚生労働省が公開する「テレワークモデル就業規則~作成の手引き~」をご確認いただくことで、検討すべき項目や適正な取り扱いが明確になるでしょう。

ここでは、テレワーク導入企業からよくご相談いただく事項について考えていきます。

「始業・就業時刻の変更」について

テレワーク時にも出社時と同じ労働時間制で勤務する場合、必ずしも特別な労働時間を規定する必要はありません。よって、労働時間については「原則、就業規則第○条の定めるところによる」等といったように、就業規則に根拠を置くこととして問題ありません。

ただし、テレワークの場合、従業員の希望により、始業・終業時刻の繰上げ・繰り下げ(所定労働時間を変更することなく、あくまで始業・終業時刻をスライドさせること)を認めることもあろうかと思います。始業・終業時刻の繰上げ・繰り下げについては既存の就業規則に定めを置くケースは少なくありませんが、その理由については「会社都合により」としているケースが目立ちます。この点、テレワーク勤務規程では「会社の承認を受けて」等として、改めて規定する必要があります。

「中抜け」の取扱いについて

「始業・終業時刻の変更」と同じく、多くご相談が寄せられるのが、労働時間内に業務から一旦離れる時間(いわゆる「中抜け」)についての取扱いです。就業場所を従業員の自宅とする場合、必ずと言っていいほど、「プライベートな事情で、一時的に仕事から離れたい」という要望が出るものです。このようなリクエストへの対応として、あらかじめ会社としてルールを明らかにしておくことをお勧めします。

テレワーク中の中抜け時間の取扱いについては、以下の2パターンが考えられます。

① 中抜け時間を把握し、休憩時間として取り扱った上で労働者の希望に応じて終業時刻を繰り下げる、あるいは時間単位の年次有給休暇として取り扱う
② 中抜け時間は把握しないこととし、始業時刻と終業時刻の間の時間を、休憩時間を除いた上で労働時間として取り扱う

 
いずれの定めとするにせよ、「中抜け」の際の取り扱いや報告方法についてはテレワーク勤務規程に明記しましょう

「労働時間の把握」について

前述の「始業・終業時刻」や「中抜け」の時間を含め、「労働時間の把握」は不可欠です。テレワークというと安易に「事業場外みなし労働時間制を導入すれば良い」と考えられがちですが、実は、事業場外みなし労働時間制の適用要件はかなり限定的です。

関連記事:『その運用、違法かも!実は適用困難な「事業場外みなし労働時間制」の要件とは?

手引きでは、従業員の勤怠管理について、「電子メール」「電話」「勤怠管理ツール」の方法が例示されています。あらかじめ始業及び終業の時刻の報告・記録の方法を決めて、テレワーク勤務規程に明記しておきましょう

①電子メール
テレワーク実施企業で使い慣れている、業務の報告を同時に行いやすい、担当部署も一括で記録を共有できるなどの特徴があります。
②電話
テレワーク実施企業で使い慣れている、時間がかからない、コミュニケーションの時間が取れるなどの特徴があります。
③勤怠管理ツール(始業及び終業の時刻などを管理することができるシステム)
電子メールで通知しなくてもよい、管理者が大人数を管理しやすい、人事・労務担当部署も記録を共有できるなどの特徴があります。また、業務中に常時通信可能な状態になる、個別に報告する手間がかからないなどの特徴もあります。

 

テレワーク勤務規程の作成に際しては、ここで挙げたテーマ以外にも判断に迷うことが生じるものです。そのような場合は、労務管理の専門家である社会保険労務士にご相談いただくことで、より実態に即した内容に仕上げることができます。
また、テレワーク時の勤怠管理なら、無料の勤怠管理システム ハーモス勤怠 by IEYASUの導入がお勧めです。独自のレポート機能や残業(36協定)アラートを活用し、テレワークに伴い問題視されがちな長時間労働対策を万全に講じましょう!

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