採用担当者必見!面接時に聞いてはいけない「不適切質問」にご注意を

次年度新卒採用活動が解禁となる3月を目前に、各社、着々と準備を進められていることと思います。採用選考といえば「求職者との面接」がつきものですが、御社では面接時の質問を十分に検討できているでしょうか?何気ない質問が、内容によっては不適切な問いかけと判断されることも。応募者を不当に扱うことのないよう、そして採用トラブルを未然に防ぐという観点からも、採用面接時の不適切質問について理解を深めましょう。

こんな質問、していませんか?採用選考時の不適切質問集

「労使間トラブルやミスマッチを防ぐべく、これから採用するかもしれない人について可能な限り色々と知っておきたい」という企業側の意向とは裏腹に、採用選考段階において差し控えるべき問いかけはいくつもあります。細かく例を挙げればきりがありませんが、基本的には「業務遂行に関係ない事項」に関わる質問は、採用面接の場には不適切と考えるべきです。例えば、以下の各事項に関わる質問はしないようにしましょう。

  • 本籍
  • 住居とその環境
  • 家族構成や家族の職業・地位・収入
  • 資産
  • 思想・信条、宗教、尊敬する人物、支持政党
  • 交際や結婚

不適切質問の例は、下記よりご確認いただけます。面接の何気ない話の中で、つい口にしてしまいそうな質問が並びますが、くれぐれもご注意ください。

参考:大阪労働局「就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例

既往歴、健康状態に関わる質問は?

ところで、前項の不適切質問事項には「応募者の過去の病歴や健康状態(既往歴)」の記載がありません。しかしながら、実務上、「採用時に既往歴を把握していなかったために、従業員の入社後の欠勤・早退に頭を悩ませている」といった人事担当者様も少なくありませんから、企業としてはできる限りヒアリングをしておきたいポイントでしょう。とはいえ、個人の病気をやみくもに詮索してはプライバシーの侵害、損害賠償請求の対象となってしまいますから、注意が必要です。

既往歴に関わる質問は、業務遂行上必要な範囲で許容される

既往歴について、会社側が把握できるのはあくまで「業務遂行に支障が生じる様な病気を抱えていないか」です。採用候補者には業務内容を細かく説明した上で、その業務を遂行するにあたって健康上の問題はないか、職場で配慮すべき事項はないか等のヒアリングを行うのが良いでしょう。具体的には、機械操縦や自動車運転の業務への従事を予定している場合、あらかじめてんかんや低血糖症、うつ病、睡眠障害、心臓疾患、アルコール依存症等の有無を確認するケースが多いようです。ただし、個人の既往歴はプライバシーに関わる事柄なので、口頭ではなくヒアリングシートを活用する等の配慮が求められます。

HIV感染の未申告による内定取り消しは違法

採用面接時の病気告知については、2019年9月17日に注目すべき判決が出ています。採用面接時に持病の有無を聞かれ、HIV感染の旨を申告しなかった内定者の内定取り消しの違法性に関わる争点について、下記の点が重視されました。

  • 不告知の必要性
    特に配慮を要する極めて秘匿性、要保護性の高い個人情報であるHIV感染者であるという事実を採用に当たって調査すること自体禁止されており、事業者がHIV感染者であるか否かに関する情報を労働者から取得すること自体認められていないことからすれば、上記事実は、本件面接においても原告が秘匿する必要性の高い事実である。
  • 不告知の許容性
    HIVは日常の職場生活においては感染しないし,HIV感染者であること自体は労働安全衛生法68条所定の就業禁止事由に該当しない。業務を通じて他者へ感染する可能性は皆無であったことを考慮すると,HIV感染者であることが被告の業務に支障を与える可能性は皆無である。

上記より、「本件内定取消しに客観的に合理的な理由は存在せず、社会通念上相当として是認できる余地はない」とされ、法人に対する損害賠償請求が認められました。

参考:裁判所「下級裁判判例_平成30(ワ)1352  損害賠償請求事件 令和元年9月17日 札幌地方裁判所

併せて、HIVに関わる正しい知識を持ちましょう

ちなみに、厚生労働省が公開する「職場におけるエイズ問題に関するガイドラインについて」では、

✓ 事業主が主体となって職場におけるHIVへの正しい理解を促すこと
✓ 事業者は、労働者の採用選考を行うに当たって、HIV検査を行わないこと
✓ HIVに感染していることそれ自体は解雇の理由にはならないこと

 

等が記載されています。HIVについては、採用活動時のみならず、通常の労務管理の一環として、職場において正しく理解しておけると安心です。

参考:厚生労働省「職場におけるエイズ問題に関するガイドラインについて

採用活動を前に、御社の採用面接マニュアルの見直しを

大阪労働局が公表する「就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例」をご覧になって、「今までの面接で尋ねたことがある!」とドキっとされた採用担当者様も多いのではないでしょうか?「応募者の不安や緊張を紛らわせようと、何気なく話題にしたテーマが実はNG」というケースも少なくありません。新年度の採用活動開始を迎える前に、面接時の質問事項についてはあらかじめ十分に確認されておくことをお勧めします。

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