働き方改革関連法案可決・成立に伴い、都内企業等に向けて「働き方改革宣言企業」を募る東京都では、各社の働き方・休み方の改善を後押しする目的で、独自助成「働き方改革宣言奨励金」の支給申請を受け付けています。
働き方改革への対応に向け、資金は万全でしょうか?
都内で事業を営む企業等、個人事業主はさっそく概要を確認し、必要に応じて奨励金の活用を検討しましょう。
目次
東京都独自助成「働き方改革宣言奨励金」 平成30年度の概要
「働き方改革宣言奨励金」は、従業員の「長時間労働の削減」と「年次有給休暇の取得促進」に向けた働き方の改革に取り組む企業に支給される、東京都独自の奨励金です。
対象となるのは、
✓ 都内で事業を営んでいる企業等であること
✓ 都内に勤務する常時雇用する労働者を2人以上、かつ6ヶ月以上継続して雇用していること
の他、「就業規則の作成・届出が行われていること」「労働関係法令を順守していること」「都税を納付していること」「過去5年間に重大な法令違反等がないこと」などの基本的な要件を満たしている事業者となっており、都内企業にとっては比較的申請を検討しやすい奨励金といえそうです。
「働き方改革宣言奨励金」では、下記2種類のコースが設定されています。このうち「A 働き方改革宣言事業」への取り組みは必須となり、加えて労使協定締結や社内制度化を実施した企業等には、取り組みに応じて最大40万円支給されます。
A 働き方改革宣言事業【必須】 支給額30万円
雇用する正社員の働き方・休み方について、次の1から4のすべての取組事項を実施
1 長時間労働の削減、年次有給休暇等の取得促進に向けた問題点の抽出
2 原因分析及び対策の方向の検討
3 目標及び取組内容の設定(働き方改革宣言書の作成)
4 社内周知
B 制度整備事業 支給額最大40万円
上記「A 働き方改革宣言事業」実施に加え、次の①②いずれも実施
①【働き方の改善】または【休み方の改善】に定める制度について労使協定を締結する
②締結した協定を踏まえ、制度内容を就業規則等に明文化する
※その内訳は以下です
・【働き方の改善】に掲げる制度等を1つ以上整備 10万円
テレワーク制度または在宅勤務制度の導入で10万円加算・【休み方の改善】に掲げる制度等を1つ以上整備 10万円
・【働き方の改善】及び【休み方の改善】に掲げる制度等をいずれも1つ以上整備し、合計5つ以上整備した場合 10万円
出典:東京都TOKYOはたらくネット「働き方改革宣言奨励金」
「働き方改革宣言奨励金」の申請に向けて取り組むべきこと
「働き方改革宣言奨励金」の各コースでは、それぞれに取り組むべき事項が細かく定められています。「働き方改革」をテーマに、ただやみくもに取り組んだだけでは支給対象に該当することは出来ません。
必ず要件に定められていることを、手順通りに実施していくことが大切です。
A 働き方改革宣言事業
1.問題点の抽出
働き方・休み方改善ポータルサイト内の「企業向け自己診断」を実施する。
2.原因の分析・対策の方向の検討
都内に勤務する従業員(正社員)を1人以上含む2人以上で組織するプロジェクトチームを設置し、分析・検討する。
3.働き方改革宣言書の作成
浮き彫りとなった問題点、プロジェクトチームで分析・検討した内容を元に、働き方と休み方の改善に向けた目標及び取り組み(期間は2年以上3年以内)を設定する。
4.社内周知
取りまとめた内容について、都が定める様式及び働き方改革宣言書を用いて、掲示板、社内報、イントラネット等により全従業員に周知する。
上記の取り組みは、会社の全事業所で(複数事業所がある場合、都内外を問わずすべての事業所において)取り組む必要があることに、注意が必要です。
B 制度整備事業
1.「A 働き方改革宣言事業」の実施
2.導入するすべての制度について、労使協定を締結
労使協定は、後述する「事業実施期間内」かつ「就業規則等施行日以前」に締結する。
労使協定には、制度の対象者・内容を具体的に記載する。
3.導入するすべての制度について、就業規則等を整備
就業規則等は「事業実施期間内」かつ「労使協定締結日以降」に改正し、「事業実施期間最終日の翌月1日」までに施行する。
企業規模を問わず、実績報告日までに労基署に届出を行う。
本奨励金支給対象となる制度は、下記の通りです。
<働き方改善>
・フレックスタイム制度
・短時間勤務制度
・テレワーク制度
・在宅勤務制度
・勤務間インターバル制度
・朝型の働き方
・週休3日制
<休み方改善>
・業務繁閑に応じた休業日の設定
・年次有給休暇の計画的付与
・記念日等有給休暇制度
・時間単位年次有給休暇制度
・連続休暇制度
・リフレッシュ等休暇制度
・育児・子育て・介護等目的休暇制度
それぞれの制度詳細や要件については、募集要項よりご確認いただけます。注意点としては、「全正社員を対象とすること(正社員が一人もいない場合には全従業員を対象とすること)」「法定で同様の制度がある場合には、必ず法を上回る内容とすること」などが挙げられます。
参考:東京都TOKYOはたらくネット「働き方改革宣言奨励金申請の手引き」
「働き方改革宣言奨励金」は申請スケジュール遵守が原則!
「働き方改革宣言奨励金」では、事前エントリー受付日から所定研修受講の日程、申請期限、事業実施期間、報告書提出期限といったすべてのスケジュールが予め決められています。申請を検討する企業は、まずこのスケジュールの確認から始めましょう。特に、事前エントリー受付日については各回日にち限定となっている点に注意が必要です。
出典:東京都TOKYOはたらくネット「働き方改革宣言奨励金申請の手引き」
働き方改革。まずは基本的な労務管理・勤怠管理から!
今回ご紹介した「働き方改革宣言奨励金」は、都内企業等が働き方改革に取り組んでいく上では積極的に活用したいサポートといえそうです。ただし、このような支援を受けるためには、日々の勤怠管理を始めとした基本的な労務管理を徹底できていなければなりません。
「魅力的な奨励金だけれども、今回の申請は難しそうだ」という場合にも、今後を見据えて、会社を“助成金体質”に変えていく取り組みは今からでも始められます。まずは「勤怠管理方法の見直し」から、スタートされてみてはいかがでしょうか?
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