働き方改革と共に幕を開ける令和時代。平成の30年を経て、日本人の働き方はどう変わっていくのか

働き方改革関連法の施行日と同日の2019年4月1日、新元号「令和」が公布されました。まさに働き方改革と時を同じくしての幕開けとなる新時代、私たちの働き方はどう変わっていくのでしょうか?

今号では、昭和から平成にかけてのワークスタイルの変遷を振り返るとともに、令和時代の働き方の行方、企業に求められることを展望します。

昭和流からの脱却を目指した、平成の30年間

長時間労働の是正、多様な働き方の創出を目指す働き方改革は、しばしば「昭和からの脱却」に例えられます。
働き方改革というと、ともすればここ数年のうちに巻き起こった動きと捉えられがちです。
しかしながら、実は平成の訪れの前後から働き方の見直しは始まり、私たちは平成とともに、着実に変化の道を歩んできました。

平成の到来を目前に、「週休1日制」から「週休2日制」の流れへ

例えば「労働時間」。
昭和のビジネスマンは週休1日、しかも長時間労働が今以上に蔓延する職場環境であったといわれています。
私自身、昭和時代は子供として過ごしたわけですが、当初公立小学校は週休1日、土曜日にも3時間授業が行われていました。そしてその頃の大人といえば、会社員の父は「朝早く出勤して夜遅く帰ってくる=日曜以外はいつも不在」、専業主婦の母親が私たち子どもの面倒をみる状況が当たり前だったように記憶しています。

それがいつの頃からか、学校は週休2日制(当初は隔週で週休2日が開始)となり、我が父も水・日定休の週休2日となっていました(相変わらず、残業は多かったようですが)。こうした変化は、労働基準法の変遷をたどることで理解することができます。
昭和22年の労基法制定時には「1日8時間、1週48時間」が通常の労働時間制とされていたのが、昭和62年改正で「週40時間労働制」が規定され、平成6年4月1日より法定労働時間の短縮が実施されているのです。1日の法定労働時間は8時間ですから、必然的に週5日勤務となり、多くの会社で週休2日が実現されたというわけです。

各種の変形労働時間制は、すでに平成の前半には出揃う

昭和から平成の働き方の変化は、法定労働時間の改正のみにとどまりません。平成に入ってすぐ、各種の変形労働時間制がすでに整えられているのです。

フレックスタイム制、1か月単位・3か月単位の変形労働時間制等の「変形労働時間制の導入」、「事業場外及び裁量労働制の規程整備」は、既に昭和62年の労基法改正時に盛り込まれていた項目です。その後、平成5年改正で「1年単位の変形労働時間制」、平成10年改正で「企画業務型裁量労働制」が導入されています。通常の枠を超えた多様な働き方の実現は、平成に入ってすぐのタイミングから検討が進められていたことが分かります

働き方改革の柱のひとつ、「時間外労働の上限規制」の土台は平成10年労基法改正時の目玉

加えて、大企業では2019年4月から、中小企業においては2020年4月から適用となる「時間外労働の上限規制」を検討する上で重要指針とされた「限度基準告示(労使協定で定める労働時間の延長の限度等について基準)」は、平成10年改正時に登場したものです。
昭和に蔓延していた長時間労働の是正に向け、平成前半の段階で既に指針がまとめられていたことになります。指針レベルということで徹底までは難しい状況が続きましたが、今後、働き方改革の中で確実に是正が目指されるポイントと言えるでしょう。

参考:厚生労働省「第2回副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会_資料1労働時間法制の主な改正経緯について

平成のキーワード「ワーク・ライフ・バランス」「働き方改革」は、令和に引き継がれ、実現が目指される

労働基準法改正の変遷ひとつとってみても、平成は、従来の日本人の働き方を大きく変えた30年間であったと言えます。
働き方改革は、令和から新たに始まるものではありません。昭和の終焉から、実は少しずつ、でも確実に進んでいたのです。

さて、「ワーク・ライフ・バランス」「働き方改革」とは、昨今の労務管理を語る上で欠かすことのできない、平成生まれのキーワードです。
一律に決まりきった働き方に当てはめられることなく、個々がそれぞれの考え方やバックグラウンドを尊重しながら社会で活躍できる様、より一層多様な働き方の実現が目指されています。

ここ数年のうちに「多様な正社員制度の創設」「副業の解禁」「テレワークの導入」等が推奨され、ようやく注目され始めたところで、平成は終わりを迎えます。これから迎える令和では、平成に登場したあらゆる取り組みが継承され、社会にしっかりと根を張り、成長を遂げていくことが目標とされます。

待ったなしに迫りくる働き手不足時代に向け、改正法施行の強制力を追い風に進む「令和の働き方改革」

さぁ、令和の時代には日本人の働き方はどのように変わっていくのでしょうか?ここからは個人の展望となりますが、当面は働き方改革で掲げられた各取り組みが順次推進されていくことになるでしょう。働き方改革関連法の中で法制化され、違反すれば罰則が適用されますから、今後企業は対応せざるを得なくなります。

参考:打刻ファースト「【労働基準法改正(確定)】これだけ読めばOK「働き方改革」完全まとめ_2019年4月に向けて準備すべきこと

また、少子高齢化に伴う人手不足の波が、本格的に中小企業に迫ります。
日本商工会議所の2018年度調査によると、調査対象企業の実に65%で、すでに「人手不足を実感している」とのデータが明らかになっています。
今後、状況はますます悪化していくものと見込まれています。御社では、人手不足への対応を進めているでしょうか?

参考:日本商工会議所『「人手不足等への対応に関する調査」集計結果について

令和の働き方改革推進に向け、御社ができることを知ろう

人材不足への対応については、各社の実態に合った対策を検討する必要があります。
具体的な取り組みを考える上では、下記に挙げる3つの視点を元に検討を進めると良いでしょう。

・就労環境、待遇の改善
⇒働きやすさを実現し、労働者から選ばれる会社にする

・多様な人材の活用
⇒様々な働き方を提供することで、これまで働きたくても働けなかった潜在的労働力の活用を実現する

・業務効率化への取り組み
⇒業務フローの見直しによる省略化、IT導入による効率化により、生産性向上を図る

今後に備え、まずはどの分野での対策を強化していくのかを定め、徐々に具体的な対応を検討していきましょう。
厚生労働省では人材確保に向けた取り組みに関わる情報提供を行っています。他社はどのような対策を行っているのか、政府からはどのような支援があるのかを把握する上で、参考になるページばかりです。
「中小企業の人手不足対策」については、打刻ファースト内でも今後特集し、解説していきますので、引き続きチェックしてみてください。

参考:厚生労働省「人材確保対策

今後、現場では各視点からのアプローチが必要となるわけですが、いずれの取り組みも一朝一夕に実現するものではありません。すでに従業員を抱える現場において、これまでのワークルールを変えていくことは、想像以上に困難を伴う作業です。

「自社だけではなかなか検討・取り組みが進まない」という場合には、労務管理の専門家である社会保険労務士の活用がお勧めです。雇用管理、新たな制度導入に向け、助成金申請を見据えたご提案もさせていただきます。

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いざ、令和時代の幕開け。働き方改革に向けた準備を進めましょう^^

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