2021年度厚生年金保険・健康保険算定基礎届(定時決定)|ガイドブック&解説動画が公開

労働保険年度更新に社会保険算定基礎届と、担当部署においては何かと慌ただしい6月。いずれも毎年恒例ではありますが、年に一度の手続きとなれば、迷うことも多いのではないでしょうか?
今号では、2021年度社会保険算定基礎届をテーマに、書き方と注意点について解説することにしましょう。

算定基礎届とは?年に一度の標準報酬月額決定作業

算定基礎届とは、年に一度、厚生年金保険・健康保険の保険料及び年金額算定の基礎となる「標準報酬月額」を見直すための届け出のことです。毎年同じ時期に行うことから、「定時決定」とも言われます。

被保険者資格の取得時から定期に標準報酬月額を算定し直すことで、常に実際の報酬に則した設定が可能となります(ただし、報酬に大幅な増減があった場合には、随時改定により適宜見直しが行われます)。

算定基礎届への企業対応

算定基礎届では、7月1日現在で使用する全ての被保険者及び70歳以上被用者(※)に対して4~6月に支払った賃金を届け出ることで、その年の9月から翌年8月までの標準報酬月額が決定されます。

※ただし、以下のいずれかに該当する方については、算定基礎届の対象外となります

  1. 6月1日以降に資格取得した方
  2. 6月30日以前に退職した方
  3. 7月改定の月額変更届を提出する方
  4. 8月または9月に随時改定が予定されている旨の申出を行った方
    ⇒③および④の場合、算定基礎届の報酬月額欄を記入せず、空欄とした上で、備考欄「3.月額変更予定」を○で囲みます

毎年6月下旬までに、年金事務所から専用の届出用紙が送られてきます。用紙には、被保険者の氏名、生年月日、従前の標準報酬月額等が印字されているので、まずは内容に誤りがないかどうかを確認します。その後、必要事項を記入して管轄の年金事務所に提出します。2021年度の提出期間は、例年通り7月1~12日となっていますので、忘れずに手続きをしましょう

算定基礎届の書き方の大原則を総復習

算定基礎届には、被保険者各人について、

 4月・5月・6月の各月に受けた報酬の支払基礎日数
 各月に支払われた通貨による報酬および現物支給されたものを通貨に換算した額
 各月の合計報酬額
 1ヵ月あたりの平均報酬月額

を記入します。


出典:日本年金機構「算定基礎届の記入・提出ガイドブック 令和3年度

休業手当支給時の記入方法など、例外パターンはガイドブックを参照

賃金台帳を元にした原則の記入方法は、図をご覧いただくとお分かりいただけると思います。ただし、以下のケースについては記入上で注意すべきポイントがありますので、ガイドブックで実例を確認しながらご対応いただくと良いでしょう

  • 支払基礎日数に17日未満の月があるとき
  • 短時間就労者(パートタイマー)であるとき
  • 給与の支払対象となる期間の途中から入社したとき
  • 一時帰休による休業手当が支給されているとき
  • 休職したとき
  • 「4、5、6月の給与の平均額から算出した標準報酬月額」と「前年の7月から当年の6月までの給与の平均額から算出した標準報酬月額」に2等級以上の差が生じたとき

コロナ禍とあって、休業手当支給時の算定基礎届の記入方法についてお悩みのケースも多いと思います。こうした例では、「7月1日時点で一時帰休の状況が解消しているかどうか」で記入の仕方が変わりますので、ガイドブックをご参照いただきながら適切に対応しましょう。

2021年度も事務講習会の実施はなく、算定基礎届事務説明動画を公開

算定基礎届の事務手続きを円滑に進めるため、例年であれば集合形式での算定基礎届(定時決定)事務講習会が行われていますが、新型コロナウイルスの影響を受けて昨年度同様、2021年度も実施されません。代替措置として、日本年金機構ウェブサイト上で算定基礎届事務説明動画が公開されています。ガイドブックと併せてご確認ください。

参考:日本年金機構「令和3年度算定基礎届事務説明【動画】

算定基礎届の作成は決して難しいものではありませんが、通常業務に加えて労働保険年度更新、さらにコロナ対応等が重なれば、対応に頭を悩ませる場面も出てくると思います。そんなときには、社会保険労務士をご活用いただき、業務負荷軽減、効率化を図ってまいりましょう!スポットのご依頼も、お気軽にご相談いただけますと幸いです。労務相談はこちらから

LINEで送る

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事