2022年度中に2段階の引き上げが予定される雇用保険料率!給与計算や年度更新への影響は?

長引くコロナ禍で枯渇する雇用保険財源を背景に、引き上げが予想されていた2022年度の雇用保険料率に関して、厚生労働省より方針が示されました。2022年度は4月、10月と2段階で引き上げられる見込みとなり、給与計算や年度更新の際には注意が必要となりそうです。正式な公表に先立ち、見込みを把握しておきましょう。

4月からは「雇用保険二事業」、10月からは「失業等給付」に係る保険料率が引き上げ予定

雇用保険料率は、労使が折半で負担する「失業等給付」「育児休業給付」、そして事業主負担のみの「雇用保険二事業」についてそれぞれ設定されています。

2021年度の雇用保険料率は以下の通りです。コロナ禍ではありましたが、2020年度と同率となっていました。

○ 「失業等給付」「育児休業給付」の保険料率
・ 一般の事業・・・6/1000(労働者負担・事業主負担ともに3/1000)
・ 農林水産・清酒製造の事業及び建設の事業・・・8/1,000(労働者負担・事業主負担ともに4/1000)

○ 「雇用保険二事業」の保険料率
・ 一般の事業及び農林水産・清酒製造の事業・・・3/1000(事業主負担のみ)
・ 建設の事業・・・4/1000(事業主負担のみ)

2022年4月1日~9月30日の雇用保険料率

2022年4月1日から9月30日に適用される雇用保険料率では、「失業等給付」「育児休業給付」の保険料率に変更はなく、「雇用保険二事業」の保険料率のみ0.5/1000引き上げ(事業主負担のみ)となる予定です。

2022年10月1日~2023年3月31日の雇用保険料率

さらに、2022年10月1日以降年度末までは、「失業等給付」「育児休業給付」の保険料率が4/1000引き上げ(労働者・事業主負担ともに2/1000引き上げる)となります


出典:厚生労働省「雇用保険被保険者数お知らせはがき(令和4年3月送付分)に関するFAQ_Q11

給与計算に影響を及ぼすのは、2022年10月以降適用の雇用保険料率

雇用保険料率が変更されるということで、企業の給与計算ご担当者様であれば、正しく対応できるよう準備しておかなければなりません。この点、4月の変更時点では、事業主負担分のみの引き上げであるため、労働者の給与から天引きとなる雇用保険料に影響を及ぼしません

一方、10月以降適用となる雇用保険料率では、労働者負担分の算定に関わる「失業等給付」「育児休業給付」の保険料率に関わる変更が生じるため、給与計算時には雇用保険料率の変更が必要となるでしょう

雇用保険料率の変更による労使負担額への影響については、以下のシミュレーションよりご確認ください。

* 月給20万円・一般の事業の場合
[2021年度]
・労働者負担分(3/1000)・・・ 600円
・事業主負担分(6/1000)・・・1200円
[2022年4月~9月]
・労働者負担分(3/1000)・・・ 600円
・事業主負担分(6.5/1000)・・・1300円
[2022年10月~2023年3月]
・労働者負担分(5/1000)・・・ 1000円
・事業主負担分(8.5/1000)・・・1700円

2022年度年度更新では、概算保険料を年度の前後半で分けて計算

また、注意すべきは年度更新時の概算保険料の計算です。2022年度は年度内に雇用保険料率の変更が行われるため、概算保険料として見積もる額もこれに合わせた算出が必要になります。具体的な方法としては、2022年4月1日から9月30日までの概算保険料額、2022年10月1日から2023年3月31日までの概算保険料額をそれぞれ計算し、これらの合計額を2022年度概算保険料(雇用保険分)として申告・納付します。

年度更新とは、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付、新年度の概算保険料を納付するための申告・納付のために、年に一度行う手続きのこと。2022年年度は、6月1日から7月11日の間に行う手続きとなりますので、概算保険料計算の際には雇用保険料率の変更にご留意ください。

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