【時短派遣がよくわかる】求められるのは新しい雇用保険と社会システム?

労使共にニーズの高まっている「時短派遣」という働き方があります。各企業で採用が進んでいる時短派遣ですが、その実態と裏側にあるものをご存知でしょうか?本記事でその理解を深めましょう。

時短派遣とは? -特に家庭のある女性に求められる形態

 そもそも時短派遣とはその名前のとおり、短い勤務時間の派遣社員のことです。一般的な週5日・1日8時間勤務のフルタイムではありません。週3~4日程度、1日4~5時間勤務といったパートタイムに似た勤務形態、もしくはそのような働き方を選択している派遣社員を指す言葉です。
 家庭と両立できる形での仕事を求める女性にとっては望ましい勤務形態であり、企業にとっては深刻な人手不足の緩和と人件費の節約が両立できるメリットがあることから、女性の多い事務系の職種で増加しています。

労働者を守るための派遣法改正が、時短派遣の需要を押し上げる

 現在多くの企業にある課題の一つは慢性的な人手不足です。企業の人材に対する需要は増え続けており、中でも即戦力となる派遣社員へのニーズは高く、時給も上昇傾向にあります。しかし若年労働者の減少を背景に、フルタイム制での人材確保は年々厳しくなる一方です
この状況に追い打ちをかけたのが派遣法改正です。労働者保護の観点から様々な義務付けが行われたため、それが派遣会社の重い負担となっており、派遣先企業に求められる採用コストが増加しているのです。
 特に同じ勤務先への派遣期間に3年という上限が設けられたことによる影響の大きさは見過ごせないものがあります。こうした事情から、派遣先企業は勤務形態に制限のある人材を受けれ入れなければ業務が成り立たなくなりつつあるのです。

時短派遣の実態が示すものとは

 需要の高まり続ける時短派遣ですが、その立場が極めて不安定であることは間違いありません。景気が再び悪化した場合、真っ先に契約を打ち切られる可能性にあるのが時短派遣だからです。
 企業側から見れば、時短派遣は変動費として扱うことができます。最も調整のしやすい雇用形態なのです。時短派遣は即戦力である一方、いつでも切り捨てることのできてしまう労働力でもあります。
 企業が時短派遣に頼っている現状は、実は長い目で考えると企業にとっても好ましいものではありません。かつての年功序列制や終身雇用制度が崩れつつある現在、正社員の働き方にも多様化の波が訪れます。前時代的な「御恩と奉公」は企業と社員の双方にとって通用しないのです。時短派遣の実態は、この先の企業の在り方にも大きな問題を投げかけているのです。

時短派遣による人材供給の裏側にあるもの

時短派遣の裏側には、その大半を占める当事者である女性たちの事情も見え隠れしています。「即戦力となるキャリアを持つ人材が時短派遣に増え続けている。しかも、それを満たせる企業側の供給量がある。」これは、それだけの人数の女性が何らかの理由で職場を離れざるを得なかったという現実を示しているとも考えられるのです。
 そこには、企業の女性労働者に対する無関心ぶりがうかがえてしまいます。時短派遣として再就職する女性の多さは、結婚や子育て、あるいは親の介護といった事情に対する支援策の立ち遅れと、少子高齢化が進む中での将来の雇用事情への認識不足がここに至って噴き出してきたということなのではないでしょうか。

まとめ: 働き方の変化が、新しい社会のシステムを求めている

 時短派遣の増加が示すのは、流動化の止まらない雇用の実情です。正社員をも含んだ雇用保障の問題と言い換えることもできます。
 「即戦力」という言葉はキャリアとスキルを要求するものです。今後はそうした個人の経歴と能力こそが雇用の保障となっていくでしょう。労働者の権利の強化の大切さもさることながら、個人のキャリア形成を支援するような社会的システムが必要とされているのです。

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