9月は「職場の健康診断実施強化月間」!事業者の義務として「事後措置」の徹底を

現状、従業員の健康診断を法定通りに実施できているでしょうか?労働安全衛生法上、健康診断は実施するだけでなく、健康診断結果に基づく「事後措置」を施すまでが事業者の義務となっています。しかしながら、特に小規模事業所において、事後措置まで徹底できている現場は少ない印象です。「職場の健康診断実施強化月間」を契機に、職場の健康診断実施状況を再点検してみましょう。

9月は「職場の健康診断実施強化月間」です

厚生労働省は、毎年9月を「職場の健康診断実施強化月間」に定め、労働安全衛生法に基づく健康診断、及びその結果についての医師の意見聴取及びその意見を踏まえた就業上の措置等への実施を事業者に呼びかけています。2024年度の重点項目は以下の通りです。

(1)健康診断及び事後措置等の実施の徹底
(2)健康診断結果の記録の保存の徹底
(3)一般健康診断結果に基づく必要な労働者に対する医師又は保健師による保健指導の実施
(4)高齢者の医療の確保に関する法律に基づく医療保険者が行う特定健康診査・保健指導との連携
(5)健康保険法に基づく保健事業との連携
(6)小規模事業場における地域産業保健センターの活用

参考:厚生労働省「「職場の健康診断実施強化月間」について

後述する「事後措置」と併せて、まず確認しておくべきは「健康診断結果の記録の保存期間」です。

 

事業者が実施する一般健康診断結果の保存期間は「5年」

事業者が実施しなければならない健康診断には「一般健康診断」と「特殊健康診断」があります。このうち、すべての企業・労働者が対象となり、職種等に関係なく実施が義務付けられているのが「一般健康診断」です。一方で、一定の有害な業務に従事する労働者に対し、医師による特別の項目について実施する健康診断を「特殊健康診断」と言います。
健康診断結果の保管期間は、健康診断の種類によって異なります。一般健康診断の結果に関しては5年、特殊健康診断の結果に関しては5年から40年と、内容に応じて幅があります。起算日は保存対象の「健康診断結果が作成された日」となります。

ご参考:厚生労働省「特定健診における健診結果の保存年限の考え方

事業者の義務!一般健康診断後の「事後措置」とは?

事業者は、従業員に健康診断を受けてもらえばそれで良し、というわけではありません。健康診断等の結果、異常の所見があると診断された労働者について、就業上の措置について、3ヶ月以内に医師または歯科医師の意見を聴かなければなりません。

適切な意見聴取のために、医療機関へ必要な情報提供を

適切に意見を聴くために、必要に応じ、意見を聴く医師等に対し、労働者に係る作業環境、労働時間、労働密度、深夜業の回数及び時間数、作業態様、作業負荷の状況、過去の健康診断の結果等に関する情報及び職場巡視の機会を提供し、また、健康診断の結果のみでは労働者の身体的又は精神的状態を判断するための情報が十分でない場合は、労働者との面接の機会を提供することが適当です。
また、事業者は、上記の医師等の意見を勘案し必要がある場合は、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずる必要があります。

産業医の選任義務のない50人未満規模の事業所では、地域産業保健センターを活用

意見を聴く医師について、産業医の選任義務のある事業場(常時使用する労働者50人以上の事業場)においては、産業医から意見を聴くことが適当です。一方で、産業医選任義務のない事業場では、「地域産業保健センター」の意見聴取等のサービスを無料で利用することができます。
地域産業保健センターでは、労働者数50人未満の小規模事業場への支援として、産業医・保健師を配置し、健診結果についての医師からの意見聴取、長時間労働者・高ストレス者に対する面接指導、産業医等の事業場訪問による保健指導、労働者の健康に係る各種相談などの対応をしています。
「小規模事業場における地域産業保健センターの活用」は、2024年度「職場の健康診断実施強化月間」における重点項目のひとつでもあります。小規模事業所の健康診断対応に、ご活用いただければと思います。

参考:独立行政法人労働者健康安全機構「地域窓口(地域産業保健センター)

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