2021年3月1日以降、障がい者の法定雇用率は民間企業で「2.3%」に

企業における障がい者の法定雇用率は、2018年4月1日施行の改正障害者雇用促進法で、民間事業主2.3%、国・地方公共団体2.6%まで引き上げられましたが、現状は民間事業主2.2%、国・地方公共団体2.5%とする経過措置がとられています。このたび、本経過措置については2021年2月末日までとされ、同年3月1日以降は原則通り、民間事業主2.3%、国・地方公共団体2.6%が適用される見通しとなりました。

障がい者雇用義務の範囲が、「43.5人以上の従業員を抱える事業主」まで広がります

冒頭でも解説した通り、障がい者の法定雇用率を2.3%まで引き上げることは2018年4月時点ですでに決定していましたが、それがいつからになるかはこれまで明らかにされていませんでした。

この期日について、厚生労働省は当初「2021年1月1日」としていましたが、今般の新型コロナウイルス感染症の影響を受け、これを後ろ倒しし、「2021年3月1日」に変更しました。障がい者の法定雇用率が2.3%となった場合、対象となる事業主の範囲は「従業員43.5人以上」に広がります。

これにより、現状は障がい者雇用の義務がなくても、新たに対象となる事業主が生じることになります。該当する場合には、確実に対応できるよう準備を進めなければなりません。

障がい者の法定雇用率は、企業全体で満たしていればOK

ところで、事業所が複数ある場合、障がい者の法定雇用率は各事業所で満たす必要があるのでしょうか?

結論から言えば、各事業所ではなくあくまで「企業全体」で満たしていれば問題ありません
ただし、注意すべきはグループ会社に関わる取り扱いです。法定雇用率は事業主ごとに適用されますから、親会社・子会社の関係性にあっても原則としてはそれぞれの会社で法定雇用率を達成しなければなりません。

ただし、一定の要件を満たす場合には例外的に、企業グループ全体で実雇用率の通算が可能となります。こうした例外が認められるケースはいくつかありますので、以下よりご確認いただければと思います。

参考:厚生労働省「障がい者雇用率制度_特例子会社制度等の概要

コロナ禍で悪化する障がい者雇用

厚生労働省の調査によると、民間企業の障がい者雇用の現状はこれまで着実に良くなってきており、2004~2019年度の16年連続で雇用者数が過去最高を更新し続けていたことが明らかになっています。

しかしながら、このたびの新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、状況は一変。各地のハローワークによると、2020年2~6月の間に企業等に解雇された障がい者の数は、全国で1104人にものぼるとのことです。もちろん、コロナ禍における雇用悪化の影響は障がい者に限ったことではありません。

しかしながら、精神障害や知的・発達障害のある方は今般のような非常事態への対応を苦手とする傾向にあるため、コロナ対策と就労の両立がより一層難しい状況が想定されるという点で、今後更なる雇用状況の悪化に留意する必要があります。

障がい者雇用ゼロ企業は、ハローワークの「提案型雇用支援」の活用を

新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、企業においては厳しい状況下にあっても雇用維持を余儀なくされていますが、それでも障がい者雇用率の引き上げは待ったなし。このたび新たに適用対象となる企業においては、2021年3月に向け、準備を進めていかなければなりません。

こうした状況を受け、国は、民間企業における障がい者雇用を促進すべく支援を行っています。例えば、障がい者雇用の実績のない企業であれば、雇い入れの準備段階から採用、採用後の定着に至るまで、就職支援コーディネーターによる訪問サポートを受けることができます。

出典:厚生労働省「第97回労働政策審議会障害者雇用分科会(資料)

御社の障がい者雇用を進める上では、自社のみですべてに対応しようとするのは得策ではありません。活用できる支援制度に積極的に目を向け、会社として無理のない対応を検討してまいりましょう。

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