65歳以上のマルチジョブホルダーを対象とした雇用保険適用をわかりやすく(2022年1月1日施行)

多様な働き方の実現を目指す働き方改革の一環として、「副業・兼業」が幅広く促進されています。副業・兼業者保護のための労働保険関係については、すでに2020年9月1日より関連記事の内容の通り労災保険の取扱いに係る改正法が施行されていますが、今後2022年1月1日からは65歳以上を対象とした高年齢被保険者の特例が施行されます。

関連記事:『『本業&副業の総労働時間』で労災認定へ|ますます重要視される各社の勤怠管理|労働者災害補償保険法改正案提出予定」

2022年1月1日施行、雇用保険高年齢被保険者の特例とは

雇用保険では従来、「1週間の所定労働時間が20時間未満である者」を適用除外としていましたが、昨今の副業・兼業促進傾向に鑑み、複数就業者(マルチジョブホルダー)への雇用保険適用が進められることとなりました。まずは65歳以上を対象に、2つの事業所の労働時間を合算して20時間以上となる者を雇用保険適用とする制度が施行されます

雇用保険高年齢被保険者の特例に係る要件

高年齢マルチジョブホルダーが雇用保険適用の例外の適用を受けるためには、以下①~③の要件を満たす労働者本人による申し出が必要となります。

  1. 2以上の事業主の適用事業に雇用される65歳以上の者
  2. ①のそれぞれ1の事業主の適用事業における1週間の所定労働時間が20時間未満
  3. ①のうち2の事業主の適用事業(いずれも週所定労働時間5時間以上であるものに限る)における1週間の所定労働時間の合計が20時間以上

雇用保険高年齢被保険者の特例適用に係る手続き

65歳以上のマルチジョブホルダーが高年齢被保険者の特例適用を受けるためには、当該労働者本人が、本人の住居所を管轄する公共職業安定所に対して申し出て、必要な事務手続きを行う流れとなります。なお、雇用が継続し要件を満たす期間については、高年齢被保険者の特例適用後、本人の申出により任意で脱退することはできない旨の方針が示されています。

以上、図の出典:厚生労働省「第165回労働政策審議会職業安定分科会資料_資料1-2:雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案概要(高年齢被保険者の特例)

マルチジョブホルダーに対する雇用保険高年齢被保険者に対する失業給付

失業時の給付については、一時金方式の高年齢求職者給付を支給することとします。正当な理由のない自己都合離職の場合、現行の高年齢求職者給付金と同様に一定期間の給付制限を行った上で給付されますが、2つの事業所を同時に離職する場合でその離職理由が異なる際には給付制限がかからない取り扱いとなる見込みです。

2020年9月1日から施行されている、副業・兼業者への労災適用を復習

前述の通り、副業・兼業者を対象とした雇用保険適用は、65歳以上を対象に先行して施行されます。一方で、労災保険適用に係るルール改正については、冒頭の通り、すでに2020年9月1日から施行されています。ここでは、ポイントのみご紹介しておきましょう。

✓ 給付基礎日額の算出が複数事業所合算に
これまで、複数の会社で働いている労働者の労災保険給付については、労災事由が発生した事業所で支払われた賃金のみをもとに給付額が決められていました。この点、改正により、非災害発生事業所において支払われた賃金額を合算して給付額が決まることになりました。

✓ 複数事業所における業務上の負荷を総合的に評価
労働時間やストレス等の業務上の負荷が業務災害に当たるか否かについては、これまで災害発生事業場のみを評価対象として判断されていました。この点、新たに「複数業務要因災害」が創設され、災害発生事業所に業務上の負荷では業務災害として認められない場合でも、複数の事業の業務を要因とする傷病等について労災保険給付の対象とされることになりました。

コロナ禍でますます高まりつつある副業・兼業需要に鑑み、副業・兼業者への労働保険適用ルールを正しく理解しておきましょう。何かと複雑なマルチジョブホルダーの勤怠管理も、無料のクラウド勤怠管理システム「IEYASU」にお任せください!

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ABOUTこの記事をかいた人

HM人事労務コンサルティング 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。 労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。