2024年4月より現物給与(食事)の価額改正!「まかない」の通貨換算ルールをご存知ですか?

2023年度に引き続き、2024年度にも、現物給与の価額改正が行われ、40都道府県において、食事の現物給与価額に変更が生じています。「現物給与」といってもピンとこない方が多いかもしれませんが、特に飲食店では事業場規模を問わず、意外と身近なテーマです。現状、「まかない」を提供する現場においては、現物給与(食事)の取扱いを確認しておきましょう。

そもそも「現物給与」とは?

賃金支払いの5原則といえば、「通貨で」、「直接労働者に」、「全額を」、「毎月1回以上」、「一定の期日」を定めて支払わなければならないという労働基準法上のルールのこと。給与は、「通貨で」支給されるのが原則ですが、法令、労働協約に別段の定めがある場合、実際のモノで支給することが認められており、これを現物給与といいます。具体的には、社宅や寮等の住宅の貸与、食事、自社製品、通勤定期券等が挙げられます。

「まかない」は現物給与!2024年度より価額改正されます

従業員の社会保険料は、報酬額に対応する標準報酬月額を元に決定されます。このとき、現物給与に関しては、その現物を通貨換算し、通貨で支払われた給与と合算して標準報酬月額の決定を行うことになっています。現物給与を通貨換算する際の価額は、厚生労働大臣により定められていますので、実務上、価額表を元に換算額を算出します。「食事で支払われる報酬」、いわゆる「まかない」等についても、適正に通貨に換算し、標準報酬月額に反映されなければなりません

現物給与(食事)の価額改正をチェック

「食事で支払われる報酬(いわゆる「まかない」)」に関しては、「1人1ヶ月当たりの食事の額」、「1人1日当たりの食事の額」、「1人1日当たりの朝食のみの額」、「1人1日当たりの昼食のみの額」、「1人1日当たりの夕食のみの額」が都道府県ごとに決まっています。2024年4月1日より適用となる価額表は、以下よりご確認いただけます。

参考:日本年金機構「令和6年4月1日より現物給与価額(食事)が改正されます

「まかない」を現物給与として通貨換算していますか?

価額表をご覧いただくとお分かりになる通り、現物給与の価額は都道府県ごとに決まっています。本社と支店等が合わせて1つの適用事業場となっている場合(本社で人事・労務・給与をまとめて管理している場合)は、従業員の実際の勤務地による価額で計算します。つまり、東京本社で勤務している社員には東京都の、大坂支店で勤務している社員には大阪府の価額が適用されるというわけです。

現物給与である「まかない」の通貨換算方法

従業員にまかないを提供している事業場においては、現状、現物給与(食事)を正しく通貨換算できているでしょうか?まかないの現物支給価格は、従業員の負担額に応じて、①~③のパターンで計算します。

① 従業員の自己負担額がない場合

従業員が自己負担額なしでまかないを支給してもらっている場合は、現物給与の価額表の額をそのまま反映します。

例えば、千葉県の事業場で、まかないとして昼食を出している場合、1食あたり「270円」の現物給与がそのまま給与となります。

一方で、従業員がまかないの代金を徴収している場合、従業員の負担額が現物給与価格の2/3未満か以上かで、通貨換算の方法が異なります。

② 従業員の自己負担額が現物給与価額の2/3未満の場合

自己負担額が現物給与価額の2/3未満の場合、表にある価格から負担額を引いた価額が現物給与価額となります。例えば、①同様、昼食1食あたり「270円」の千葉県内の事業場において、従業員から100円徴収して昼食を提供している場合を考えてみてください。
自己負担額は現物給与価額の2/3(180円)未満であることから、現物給与の通貨換算額は「270円-100円(現物給与価額-従業員負担額)=170円」となります。

③ 従業員の自己負担額が現物給与価額の2/3以上の場合

一方で、自己負担額が現物給与価額の2/3(180円)以上の場合、現物給与(食事)の支給はないものとして取り扱います。つまり、現物給与価額の給与への算入はありません。

給与への「現物給与(食事)の算入漏れ」はありませんか?

食事に関わる現物給与価額を、適正に給与に算入できているでしょうか?本稿では「昼食1食あたり」を具体例にしていますが、まかないの提供頻度によっては現物給与価額が大きくなり、社会保険の標準報酬月額に影響を及ぼすこともあります。算定基礎届の他、資格取得届、月額変更届、賞与支払届の際に現物給与の通貨換算が必要となること、及び現物給与価額は物価変動等により年度ごとに見直されることにご留意いただき、適切に処理できるようにしましょう。

LINEで送る

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事