企業の防災対策は万全ですか?突然の災害発生に備え、企業が今すぐに準備すべきこととは

企業の防災対策として、御社ではどんなことに取り組まれているでしょうか?いつ発生するか分からない自然災害に備え、従業員や顧客の安全確保や事業継続に向けた対策を講じておくことは、いわば企業の責任でもあります。「企業防災」というと、何だか難しいことのように感じられますが、今すぐに準備できる取り組みに目を向けましょう。

企業の防災対策とは、「ヒト」「モノ」を守るための取り組み

企業の事業活動を支えるのは「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」と言われ、災害発生時にこれら4資源を守るための取り組みこそが「企業防災」です。企業防災は「防災対策」と「事業継続」に分けることができます。「防災対策」とはヒトとモノの安全確保、そして「事業継続」は重要な業務を中断させない、又は中断しても可能な限り短期間で復旧させるためのいわば経営戦略です。事業継続の要は「事業継続計画(BCP)の立案」となりますが、このあたりはまた改めて解説させていただくこととして、今号では「防災対策」として災害が発生する前から準備できる被害軽減・影響回避への備えを解説します。

生命の安全確保と物的被害軽減のための防災対策チェックポイント

災害発生時の最優先事項となる、従業員と事業所の安全確保のために、以下の観点から必要な備えを確認しましょう

事業所の耐震対策

自社の入居物件に適用されている耐震基準をご存知でしょうか?耐震基準はこれまでにたびたび改正が重ねられており、現状、周囲を見渡せば新旧の耐震基準に基づく建物が混在している状況です。耐震に関わる事項は物件の賃貸借契約時の重要説明事項となっていますので、改めて見直すと共に、耐震診断や必要箇所の補強・改善等を行う、必要に応じて新耐震基準適合の物件に移転する等の対策を講じると安心です。
併せて、看板や塀等の危険箇所(落下防止)や、通路や出入口、防火扉の前の整頓状況(避難経路に物を置かない)についても確認します。

オフィス家具・機器の転倒防止措置

倒れそうなキャビネットや照明機器等の固定、頭上からの物の落下防止措置の他、窓ガラスの飛散防止措置、浸水対策等、各現場で必要な対策を講じることで、日頃から安全な空間作りに努めましょう。また、事業所内の整理整頓時には、重要書類や重要物はまとめて保管し、すぐに持ち出せるように工夫しておくと良いでしょう。

必要物資の備蓄

勤務時間中に災害が発生した場合、従業員を会社待機とすることも想定されます。そのような場合に備えて、従業員一人あたり3日分の食料や水、医薬品、非常用トイレ、毛布、懐中電灯、電池、軍手等を備蓄しておく必要があります。水や食料の選択に当たっては、賞味期限に留意しましょう。

人命の安全確保措置

大前提として、すべての従業員が事業所の避難経路を把握しておくようにしましょう。人命救助の観点から、安全管理者や衛生管理者等は、消防庁が主催する救命講習を受講する等して、心肺蘇生やAEDの使い方、けがの手当といった応急手当を習得しておくと良いでしょう。併せて、避難訓練・応急救護訓練・安否確認訓練等の防災訓練を定期的に実施することも大切です。

災害発生時の役割・体制の明確化

災害発生時の初期対応の手順や、必要な対応時に中心となって動く役割の分担(防災責任者、情報連絡係、救護係、避難誘導係等)、緊急連絡網等をまとめた災害マニュアルを策定することをお勧めします。マニュアルは策定して終わりではなく、従業員への周知徹底、必要に応じた改定等を講じて、災害時に活きるノウハウとして役立てられるのが理想です。

従業員の安否確認方法の周知

災害発生時における従業員との連絡の手段・手順をあらかじめ定めておくとともに、従業員が安心して施設内に待機できるよう、その家族等との安否確認手段を従業員へ周知しておきましょう。そのためには、定期的に安否確認訓練を行うことが重要です。方法としては、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板サービス、各種SNS等があります。

企業の防災対策として、現場に則した取り組みを

今号では、企業の防災対策として、いずれの事業所においても必要となる生命の安全確保と物的被害軽減のための取り組みのポイントを解説しました。とはいえ、必要となる防災対策は現場によって異なります。万が一の際に備え、今一度身の回りを点検し、必要な対策を講じてまいりましょう。

参考:
内閣府「企業の防災対策・事業継続強化に向けて ~切迫する大地震を乗り越えるために~(簡易パンフレット)
東京都防災ホームページ「帰宅困難者対策ハンドブック

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