いまどきの若手は「福利厚生」重視!?新卒者の会社選び基準を考察

新型コロナウイルスの新規感染がようやく落ち着き始め、コロナからの回復期となる今、人材の確保・定着に改めて目を向ける企業が増加傾向にあります。今春、新入社員を迎え入れた現場も多かったと思いますが、一方で、採用活動に苦戦する企業も少なくないようです。人が集まる会社と集まらない会社の違いは、どんなところにあるのでしょうか?今号では、いまどきの若手の会社選びを考察します。

Z世代が企業に求める「安定」として、「福利厚生」は特に重視される要素

少子化に伴う働き手不足を背景に、企業における「人材確保」は今後ますます大きな課題となっていくものと見込まれます。優秀な若手を確保するために、これから施策を講じていきたい企業が参考にすべきは、ずばり「若者の声」ではないでしょうか?

過去5年で「安定性」>「やりたいこと」な傾向が顕著に

大手人材・広告企業マイナビが、2023年3月卒業見込みの全国大学3年生、大学院1年生を対象に実施した「2023年卒 就職活動における価値観に関するアンケート」によると、学生の企業選びのポイントについて、興味深い結果が明らかになっています。

これまで圧倒的な重視ポイントに君臨していた「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」ですが、ここ5年ほどでトップの座を「安定している会社」に奪われる形となっています。また、ほぼ同時期に「働きがいのある会社」の回答が減少、これに代わって「給料の良い会社」の回答が増加している点も特徴的です。このように、若手による企業選びの動向として、近年、会社の安定性や支給される給料額が重視される傾向にあることをおさえておきましょう

「福利厚生」は安定性の指標のひとつ

アンケートで挙げられた若手の会社選びで重視されるポイントのうち、「給与」は比較的分かりやすい要素といえます。一方で、「安定性」に関しては様々な要素があるため、深掘りして具体的に見ていきましょう。

最も多く挙がった「安心して働ける環境」には、社風、福利厚生・各種制度、人間関係、教育等が含まれるとのこと。このうち、福利厚生は単独でも安定性を感じるポイントに挙げられています。企業選びにおいて「福利厚生」は、会社側が想像する以上に重視されていることがお分かりになるのではないでしょうか?

学生が重視する「福利厚生」の充実、求められる内容とは?

「福利厚生」というと、人によっては「期待していないが、ないよりはあった方が良い」という程度の場合も多々あるのですが、いまどきの学生にとっては印象が異なるようです。同アンケートでは、「福利厚生の充実度に惹かれて入社を検討した企業はありますか?」という質問に対し、およそ7割の学生が「ある」と回答しています。それでは具体的にどのような制度が注目されているのか、重視した福利厚生の内容を見ていきましょう。

まず、求められる「休暇制度」の内容として、バースデー休暇やアニバーサリー休暇が挙げられています。その他、生活に大きく影響を及ぼす「住宅手当」、キャリアや働き方に関わる「自己啓発補助」「リモートワーク制度」等も求められる傾向にあります。ちなみに、2番目に多く選択された項目として「育休・産休制度」とありますが、これに関しては近年の法改正でぐんと拡充されていますから、福利厚生で新たに新制度を創設するというよりも、まずは法定制度を適正に活用していくことから始まりそうです。
一方、「レクリエーションに関する補助」のような社内イベント関連の福利厚生は下位となっており、ワークライフバランスを重視する若手の心理を垣間見ることができます。

参考:マイナビ「2023年卒学生に調査!企業選びの本音に迫る|学生にとっての「安心・安定」「成長環境」とは?

福利厚生の充実は、中小企業にとって思いのほかハードルは高くない

今号では、いまどきの若手の会社選びのポイント、とりわけ「福利厚生」を重視する傾向について解説しました。中小企業からはしばしば「立派な福利厚生なんて大企業だからこそできること」といったお声が挙がりますが、アンケート結果に挙がった福利厚生は、必ずしも大きな会社でなければ準備できない制度ばかりではないでしょう。例えば、バースデー休暇やアニバーサリー休暇に関しては既に導入している企業も少なくありません。既存制度が十分なアピール材料になることもありますから、一度、慣習的に行われている制度も含めて社内制度を見直し、正式な制度としての創設、内容の拡充等に取り組まれてみることをお勧めします。また、前述の通り、出産・育児に伴う支援は、法定の内容自体が手厚くなりつつあります。よって、法定の制度を適切に導入・実施できているかも確認すべきポイントです。
社内制度新設の際には、適正な福利厚生として認められるための制度の作り込み、そして就業規則への記載、従業員への周知徹底が不可欠です。労務管理の専門家・就業規則の作り手である社会保険労務士をご活用いただきながら、御社のアピールポイントとなる福利厚生制度を作り上げてまいりましょう!

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