11時間?それとも35時間?平均的な残業時間数の目安とは

突然ですが、御社の平均残業時間は1ヵ月あたり何時間ほどでしょうか?

最近では「時間外労働の実態」が問題視されるようになり、政府主導の働き方改革においては、いよいよ「残業規制」が具体化されようとしています。こうした流れを受け、各企業でも残業削減の方向で動き出す会社が増えてきていますが、それに先立ち、まずは社内の残業時間を正しく把握することが重要です。加えて、御社の残業の程度が一般的に見て多いのか少ないのか、という点についても正しく把握しておくべきです。

厚労省調べでは「11時間」、民間調べでは「35時間」・・・実態はいかに

日本企業の平均的な残業時間を把握するための指標が、厚生労働省『毎月勤労統計調査』にて明らかになっています。「平成27年分結果速報」内にある「第2表月間実労働時間及び出勤日数」によると、調査産業計の所定外労働時間は「11時間」とされています。

1ヵ月に11時間の残業ということは、「1日平均にして30分程度」。この数字だけを見る限り、時間外労働がさほど大きな問題であるとは思えません。

参照:厚生労働省『毎月勤労統計調査』「平成27年分結果速報」

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/27/27p/27p.html

ところが、現場のリアルな残業時間数をうかがえるデータが別にありました。こちらは「社員による会社評価」として就職・転職に役立つ口コミをリサーチするVORKERSがまとめたレポートですが、これによると全業種の月間平均残業時間は月平均「35時間」とのこと。

厚生労働省が公表している数字とは、大きくかけ離れていることが一目瞭然です。

実態として一体どちらが信憑性が高いのか、と問われれば、昨今の労働問題を鑑みれば、やはり後者であることは言うまでもないでしょう。事業主が時間外労働を意図的に少なく見せよう、隠そうとしているわけでなくとも、現場においてはトップが把握しきれていないサービス残業や仕事の持ち帰りが横行している例は珍しくありません。また、VORKERSの調査によれば、残業の程度は業種によって大きく異なることが明らかになっています。

唯一の救いは、平成26年以降、残業時間数が確実に減少していっていることでしょう。

参照:VORKERS『調査レポートvol.32 6万人の社員口コミによる「平均残業時間推移」』

https://www.vorkers.com/hatarakigai/vol_32

ここでご紹介した数字を御社の残業時間数と比較してみて、いかがでしょうか?今後、残業時間の目安を検討する上で、参考にされてみると良いと思います。

法律上、残業時間の上限は何時間?

ところで、法律ではどの程度の時間外労働が認められているのでしょうか?

結論から言えば、現状は「上限なし」。時間外・休日労働に関する協定届(36協定)によれば、「1ヵ月45時間、1年360時間」が時間外労働の限度基準とされていますが、協定内に特別条項を設けることにより上限の制約が撤廃されてしまいます。つまり、協定に労使のサインさえあれば100時間残業も設定可能、ということになります。

このたびの働き方改革では、この点がようやく問題視され、特別条項付36協定にも時間外労働の限度を設定する方向となり、今現在議論が交わされています。今後の展開に注目が集まります。

忘れていませんか?36協定の締結と更新

中小企業において、「時間外・休日労働に関する協定届(36協定)を締結していない」もしくは「一度は締結したものの、その後何年も放置している」といったケースを散見します。

御社は大丈夫でしょうか?今一度、協定締結の有無や期限(通常、締結から1年間が期限となっています)をご確認ください。

参照:東京労働局「時間外・休日労働に関する協定届(36協定)

http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/roudoukijun_keiyaku/36_kyoutei.html

36協定を締結・届出することで初めて、1日8時間、1週間40時間を超えて労働させても労働基準法違反としての処罰を免れるようになります。「うっかり締結忘れ、更新忘れ」の場合、知らぬ間に法律違反を犯していることになりますから、くれぐれもご注意ください!

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