36協定の有効期限について、毎年4月1日を起算日とする会社も多いのではないでしょうか?この時期、2022年度の36協定も無事に締結・届出が完了・・・とほっとされているご担当者様も多いと思いますが、36協定は届出後に無効と判断されるケースもありますので、くれぐれもご注意ください。御社の36協定は、適正に締結されたものでしょうか?
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不適正な従業員代表選出により、36協定が無効とされた事例
36協定を締結していても、締結方法に不備があれば無効となります。山口県岩国市の企業と同社の労務管理責任者が労基法違反の疑いで書類送検された事例では、36協定の内容を理解していない実習生を従業員代表に選出したために、36協定が無効とされました。また、同社では、実習生に月135時間の時間外・休日労働に従事させており、時間外労働の上限規制に違反する就労実態があったとのことです。
従業員代表とは?適正な選出ルールを確認
御社では、従業員代表を適正に選出できているでしょうか?従業員代表とは、文字通り「従業員の過半数を代表する者」のこと。労働組合のない事業所では、労務管理上必要な労使協定を締結するにあたり、事業所ごとに選出された従業員代表に協議・締結にあたってもらう必要があります。
従業員代表となるための要件とは?
従業員代表として選出できるのは、以下の要件を満たす従業員です。
ここでいう「管理監督者」とは、「事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」を指します。具体的には、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者を従業員代表として選出することはできません。「役職者は従業員代表となれない」と考えられているケースがあるようですが、現場において「管理職」とされている者であっても、実質的に前述のような権限を有さないのであれば従業員代表の要件を満たすことになります。
従業員代表を会社が指名するのはNG
ただし、従業員代表の選出について、使用者が指名することは認められません。従業員代表を選出する際は、何についての協定締結に係る従業員代表を選出するかを明らかにしたうえで、投票や挙手等によって選ぶ必要があります。もっとも、従業員任せではなかなか選出が進まないこともありますが、「部署ごとに指定された代表者が持ち回りで従業員代表となることにし、信任投票のみで対応できるようにする」等の工夫を講じながら取り組むとスムーズです。
時間外労働の上限規制を理解・意識できていますか?
大企業では2019年4月から、中小企業では2020年4月から施行された「時間外労働の上限規制」により、特別条項付36協定を締結した場合であっても超えることのできない時間外・休日労働の上限が、以下の通り設定されました(ただし、一部適用猶予・除外とされる業務あり)。
※(「2ヵ月平均」「3ヵ月平均」「4ヵ月平均」「5ヵ月平均」「6ヵ月平均」が全て1ヵ月当たり80時間以内)
時間外労働の上限規制に伴う36協定届の作成に関しては、以下にて解説しています。
関連記事:『【中小企業は2020年4月以後締結分から】新「36協定」をさらに詳しく解説【労働基準法改正2019】』
しばしば「36協定上は時間外・休日労働が上記の範囲に収まるよう設定されていても、実態として遵守できていない」といった事例を散見します。「業務量を考えると、とてもじゃないけれど上限規制に対応できない」という現場のお声を耳にすることもありますが、違反した場合には罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されることも。折を見て従業員の就労状況を見直し、業務効率化への工夫、人員や業務分担の再検討等、必要な取り組みに目を向けていく必要があります。
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