ゼロから始める労務管理!雇用に伴い、まず準備すべき「労働条件通知書」とは?

今春、初めて人を雇用するという企業では、従業員を迎え入れる準備として着々と労務管理体制の整備に取り組まれていることでしょう。また、年度が変わるタイミンでグ改めて、「これまで適当になっていた労務管理をちゃんとしたい」と、奮闘中の現場も多いかもしれません。
新年度目前の3月は、「ゼロから始める労務管理」として、雇用に伴い会社が準備すべきモノやコトを解説していくことにしましょう。

「労働条件通知書」はすべての労働者に交付します

厳しい選考を経て晴れて採用となった労働者に対し、御社は「労働条件通知書」を交付しているでしょうか?企業の労務管理に携わっていると、しばしば「簡単な雇用契約書なら作成している」「正社員には交付した」等のお声を耳にすることがあります。しかしながら、労働条件通知書には必ず明示しなければならない項目があり、しかも雇用形態の別を問わずすべての労働者に対して交付しなければならない等、企業においてはポイントをおさえた対応が求められます。

「労働条件通知書」の記載事項

労働条件の明示については、労働基準法第15条により明示すべき具体的な項目が定められています。また労働条件のうち特に「賃金」に関わる事項は、必ず書面で明示しなければなりません。

◎ 必ず明示しなければならない事項(書面交付による明示が必須)

  1. 労働契約の期間
  2. 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
  3. 就業の場所・従事する業務の内容
  4. 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
  5. 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締め切り・支払いの時期に関する事項
  6. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

○ 定めがある場合に明示しなければならない事項(書面交付の他、口頭の明示も可)

  1. 昇給に関する事項
  2. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項
  3. 臨時に支払われる賃金・賞与などに関する事項
  4. 労働者に負担させる食費・作業用品その他に関する事項
  5. 安全衛生に関する事項
  6. 職業訓練に関する事項
  7. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
  8. 表彰、制裁に関する事項
  9. 休職に関する事項

労働条件通知書は、必要事項が網羅されていれば雇用契約書でも代用可能

実務上、労働条件通知書は「雇用契約書」という形で作成・交付されているケースを多く見受けます。この点、書面の名称は必ずしも「労働条件通知書」である必要はなく、漏れなく必要事項が記載されていれば雇用契約書として交付されていても問題ありません。むしろ、雇用契約書は労使双方の署名捺印を前提としますから、労務トラブルのリスク管理の観点から言えば、会社側が一方的に労働条件を通知する労働条件通知書よりも理想的であると言えます。そういった意味では、労使の署名捺印欄のある労働条件通知書や、「労働条件通知書兼雇用契約書」という名目での交付も多く見受けられます。

労働条件通知書のひな型は厚生労働省のホームページより入手可能です。

参考:厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー

パート・アルバイトへの労働条件明示は必須!しかも書面明示事項に追加あり

「パートやアルバイトには雇用契約書を作成していない」という企業は、今すぐこうした取扱いを是正しましょう。労働条件の明示はすべての労働者に対して行う必要があります。加えて、短時間労働者や有期契約労働者に対しては、全労働者共通の必要明示事項の他、パートタイム労働法第6条の定めにより、書面による明示義務のある項目が追加されているので、注意しましょう。

◎ パート・アルバイトに対しては必ず書面で明示すべき項目

  • 昇給に関する事項
  • 退職手当に関する事項
  • 臨時に支払われる賃金、賞与に関する事項
  • 相談窓口

2019年4月から、FAX・メール・SNS等による労働条件明示が可能に

労働条件明示の方法については、現在、書面交付による通知の他、労働者が希望した場合は、FAXや電子メール、SNS等でも認められています。ただし、「ただし、出⼒して書面を作成できるもの」に限られ、具体的には添付ファイルによるやり取りが想定されています。その他、細かな注意点はありますが(リーフレット参照)、コロナ禍においては上手に活用して対応できると良いでしょう。

参考:厚生労働省「労働契約締結時の労働条件の明示 ~労働基準法施行規則が改正されました~_事業主向けリーフレット

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