進んでいますか?従業員の有休取得|「年次有給休暇取得促進期間」を機に改めてご確認を

従業員の年次有給休暇取得は進んでいるでしょうか?「年5日の年次有給休暇の確実な取得」が2019年度より義務化されて以来、日本企業全体における有休取得率は少しずつ向上してきています。しかしながら、政府が掲げる目標値と比較すればまだ十分とは言えませんし、現場や個人によって取得状況に差があることも確かです。10月の「年次有給休暇取得促進期間」を機に、今一度、御社における従業員各人の有休取得状況を確認されることをお勧めします。

毎年10月は「年次有給休暇取得促進期間」です

厚生労働省は、企業における年次有給休暇を取得しやすい環境整備を進めるため、毎年10月を「年次有給休暇取得促進期間」として集中的な広報を行っています。働き方改革の推進や過労死防止の観点から、政府は2025年までに年次有給休暇取得率70%の達成を目標としていますが、就労条件総合調査に示された2021年度有休取得率は58.3%にとどまっています。今後、各企業でさらなる有休取得率向上を図っていくためには、各現場において有休を取得しやすい環境作りに継続的に取り組んでいくことが不可欠です。「年次有給休暇取得促進期間」では、各企業における取り組みを推進すべく、年次有給休暇取得促進に向けた機運の醸成が図られます。促進期間中、年次有給休暇取得促進特設サイトや月刊誌「厚生労働」、「人事労務マガジン」、インターネット広告、駅ポスター等を通じた情報発信、及び労使団体に対する周知依頼等が行われます。

参考:厚生労働省「10月は「年次有給休暇取得促進期間」です

年次有給休暇取得促進に向けた具体的な取り組みとは?

企業における年次有給休暇取得促進策として、「計画的な業務運営や休暇の分散化に資する年休の計画的付与制度の導入」「働く人の様々な事情に応じた柔軟な働き方・休み方に資する時間単位年休の活用」が挙げられます。それぞれの施策について、具体的にみていきましょう。

年次有給休暇の計画的付与制度

年次有給休暇の計画的付与制度とは、年次有給休暇の付与日数のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を締結する等により、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度です。年次有給休暇の計画的付与制度は、「企業もしくは事業場全体の休業による一斉付与方法」「班・グループ別の交替制付与方法」「年次有給休暇付与計画表による個人別付与方法」等、さまざまな方法で活用されています。

具体的には、以下のような方法で導入されています。

① 夏季休暇や年末年始として年次有給休暇を計画的に付与し、大型連休を創設する
お盆や年末年始に休暇を設ける際、これらの休暇に計画的付与の年次有給休暇を組み合わせることで、従業員が大型連休を取得できるようにします。
② ブリッジホリデーとして3連休、4連休を創設する
暦の関係で休日が飛び石となっている場合に、休日の橋渡し(ブリッジ)として計画的付与制度を活用し、連休とします。

時間単位年休

時間単位年休とは、労働者が時間単位による取得を請求した場合において、年次有給休暇の日数のうち、1年について5日の範囲で、時間単位で付与できる年次有給休暇のことです。年次有給休暇は本来、労働者の心身の疲労回復や、労働力の維持培養を目的とするものですが、時間単位年休は育児・介護等との両立支援に寄与する側面もあり、年次有給休暇の有効活用を図ることができます。

年次有給休暇の計画的付与も、時間単位年休も、労使協定の締結が必要です

計画的付与と時間単位年休、いずれの制度を導入する場合も、就業規則への規定に加え、労使協定の締結が必要です。労使協定の締結事項については、それぞれ以下の通りとなります。各項目の詳細は、参考URLよりご確認いただけます。なお、この労使協定は所轄の労働基準監督署に届け出る必要はありません。

〇 年次有給休暇の計画的付与
・計画的付与の対象者
・対象となる年次有給休暇の日数
・計画的付与の具体的な方法
・年次有給休暇の付与日数が少ない者の扱い
・計画的付与日の変更

〇 時間単位年休
・時間単位年休の対象者の範囲
・時間単位年休の日数
・時間単位年休1日分の時間数
・1時間以外の時間を単位として与える場合の時間数

参考:「働き方・休み方改善ポータルサイト

4月付与の会社では、10月を目安に有休取得状況の見直しを

年5日の年次有給休暇を確実に取得させるにあたっては、今号で解説した計画的付与や時間単位年休の制度活用の他、大前提として使用者側の管理や必要な働きかけも重要になります。具体的には、有休付与から一定期間が経過したタイミングで年次有給休暇の取得が進んでいない労働者に対して、使用者側が声を掛けて労使協議の上で時季指定をする等の方法により、労働者からの年次有給休暇の請求を妨げず、かつ効率的な管理を行えるのが理想です。4月に有休付与を行う現場において、10月はちょうど付与から半年後となります。各人の有休取得状況を確認の上、有休取得奨励につながる取り組みを行ってまいりましょう。

関連記事:『4月1日一斉付与の現場は要確認!「年5日有休取得義務」への対応状況

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