
2025年度は育児・介護休業法が大きく変わる年であり、既にご存知の通り、4月と10月の二段階で改正法が施行されます。育児・介護分野における大幅な法改正対応に、各社どのように対応しているのでしょうか?今号では、一般社団法人労務行政研究所が公開するアンケート結果より、2025年施行の改正育児・介護休業法への対応状況を確認しましょう。
参考:一般社団法人労務行政研究所「改正育児・介護休業法への対応アンケート」
目次
「テレワークの実施・導入」の努力義務には、6割超の企業が対応
まずは、改正法の中で努力義務に盛り込まれた「3 歳未満の子を養育する従業員および要介護状態の対象家族を介護する従業員がテレワークを選択できるように措置を講ずること」(2025年4月施行)への対応について、テレワーク制度の導入企業は全体の62.5%となることが明らかになっています。内訳は、「既存のテレワークで対応(57.3%)」「法改正に伴い、既存のテレワーク制度を拡充(4.4%)」「法改正に伴い、テレワークを新たに導入(0.8%)」となっており、主にコロナ禍に広がったテレワークという働き方が育児・介護分野の両立支援に活かされているという印象です。
「介護両立支援援制度等を取得しやすい雇用環境整備措置」として「相談体制整備・窓口設置」が9割以上
介護分野においては、介護休業や介護両立支援制度等の申し出が円滑に行われるようにするための措置として、以下のいずれかを講ずることが義務化されました(2025年4月施行)。
① 研修の実施
② 相談窓口の設置
③ 事例の収集・提供
④ 取得・利用促進に関する方針の周知
この点に関しては、法改正以前から実施している取り組み、法改正後から実施した取り組みの両方に関するデータがありますが、法改正前後における実施状況では、「相談体制の整備・相談窓口の設置(89.1%)」が全体の9割近くに上ることが分かります。
一方で、「従業員への利用促進に関する方針の周知」に関しても、比較的高い実施割合であること、特に法改正後からの対応として多く採用されていることが分かります。
「柔軟な働き方を実現するための措置」では、4割が「始業時刻等の変更」「短時間勤務制度」の導入
2025年10月施行の法改正の柱として、「育児期の柔軟な働き方を実現するための措置」があります。これば、3歳から小学校就学前の子を養育する従業員に対して、以下より2つ以上の措置を選択して講じることを義務化したものです。
①始業時刻等の変更
②テレワーク等
③保育施設の設置運営等
④養育両立支援休暇の付与
⑤短時間勤務制度
アンケート結果より、各現場における実施状況の上位5パターンは以下の通りとなっています。
「①始業時刻等の変更」「⑤短時間勤務制度」の組み合わせを選択するパターンが 43.4%と、全体の4割超を占めることが分かります。さらに、「①始業時刻等の変更」「⑤短時間勤務制度」「②テレワーク」から2つを選択するパターンが大半となっており、これらの対応には既存の社内制度を育児分野の両立支援に活用するケースが多く見受けられます。
また、本措置に係る個別周知・意向確認の方法については、「対面での実施(65.8%)」と特に高い割合であることも分かっています。
以上、参考及び図の出典:一般社団法人労務行政研究所「改正育児・介護休業法への対応アンケート」
改正育児・介護休業法への対応はお早めに
改正育児・介護休業法への対応、貴社では進んでいるでしょうか?すでに2025年4月より施行されていますので、現状未対応の現場ではお早目の検討・制度導入が必須となります。何かと複雑な改正育児・介護休業法への対応、労務分野における新制度導入のご相談は、労務管理の専門家である社会保険労務士にご相談ください。また、2025年10月施行の「育児期の柔軟な働き方を実現するための措置」の義務化で「①始業時刻等の変更」「⑤短時間勤務制度」を選択された現場の勤怠管理には、HRMOS勤怠で万全に対応しましょう!
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