【民法改正で労働基準法が変わる】今後は年次有給休暇が「5年」有効に?

実に120年ぶりともなる改正が予定される民法は、現時点で2020年度からの施行が見込まれています。民法改正に伴う影響は労働基準法にも及ぶとされており、今後、企業の就業ルールにも大きな変化をもたらそうとしています。
何がどう変わるのでしょうか?

民法改正で残業代請求期限が変わる!

このたびの民法改正では、債権の消滅時効が原則5年に統一されることになります。これを受け、労働基準法に定められている賃金債権の消滅時効についても同様に、「5年」とされる可能性があります
「賃金債権の消滅時効」といってもいまいちピンとこない方も、「残業代請求の時効」と言い換えればイメージしやすいかもしれません。現状、未払賃金の支払いをさかのぼって請求できる権利は「2年」とされていますが、これが「5年」に大幅延長されることで、企業が負う経済的リスクはこれまで以上に大きなものとなります。この話題については、すでに別記事で解説しているので、併せてご確認ください。

関連:打刻ファースト「【民法改正】残業代請求の時効が2年→5年へ。必要な対策と適切な勤怠管理とは?」

民法改正で年次有給休暇の有効期限が変わる!

以前の記事では触れませんでしたが、民法改正に伴い労働基準法が改正された場合、賃金債権に加えて「年次有給休暇」の消滅時効も変更される可能性が高いです

年次有給休暇の取得期限は、現在は「2年」とされており、これを過ぎると未取得分の取得はできなくなってしまいます(労働基準法第115条)。しかし、労働基準法の改正により、残業代請求が過去5年分まで可能となれば、併せて年次有給休暇の消滅時効も「5年」に変更されることになるでしょう。

年間20日付与のケースを想定すると、労働者一人につき最大で「100日(20日×5年間)」もの年次有給休暇が蓄積されることになります。企業では今後、従業員に対する有給の計画的消化への呼びかけをさらに強化していくべきであるといえます。

ちなみに、すでに予定されている労働基準法の改正法案には、「労働者に有給休暇を年5日取得させること」が使用者の義務として盛り込まれています。

使用者は、年次有給休暇の日数が十日以上の労働者に対し、年次有給休暇のうち五日については、年次有給休暇の付与後、一年以内の期間に時季を定めることにより与えなければならないものとすること。

参照 : 労働政策審議会「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律案要綱」7ページ

民法改正と、それに伴う労働基準法改正。ますます重要視される企業の勤怠管理

残業代請求や年次有給休暇の取得に関わる時効が見直されることで、万が一の際に企業が負うべき責任はこれまで以上に大きなものとなります。

労働基準法改正を目前に控え、企業が取り組むべきは「予防労務=労使トラブル回避のための労務管理」です。社内規程の見直し・整備、現状の課題分析・改善案の検討はもちろん必要ですが、それ以前に、すべての土台となる「勤怠管理」については確実にこなせるようにしなければなりません。

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