お忘れではありませんか?在宅勤務者の雇用保険加入に必要な「在宅勤務実態証明書」の添付

働き方改革の一環として、もしくはコロナ禍を機に、新たな働き方として在宅勤務を導入された会社も少なくないと思います。オフィスを離れた働き方への対応では、通常とは異なる点がいつかあります。中でも、手続き上盲点になりがちなのが、雇用保険関連で必要となる「在宅勤務実態証明書」の届け出です

主に在宅で勤務する労働者の雇用保険被保険者資格取得時には「在宅勤務実態証明書」の届け出を

会社と雇用関係にある労働者であれば、オフィスではなく在宅で勤務をする場合でも、要件を満たす限り、雇用保険被保険者資格を取得します。しかしながら、在宅勤務は性質上、請負契約や業務委託契約との区別がつきにくいこともあります。請負契約や業務委託契約に基づき働く人は、会社に雇用される労働者ではないため、雇用保険被保険者資格を取得することはできません。そこで、在宅勤務の労働者が雇用保険被保険者資格を取得する際には、「在宅勤務実態証明書」を添付し、会社と在宅勤務者が雇用関係にあることを証明する必要があります

在宅勤務者の定義とは

「在宅勤務者」とは、「労働日の全部又はその大部分について事業所への出勤を免除され、かつ、自己の住所又は居所において勤務することを常とする者」を指します。
雇用保険の被保険者資格取得ができる労働者の要件は以下①②とされていますが、
① 1週間の所定労働時間が20時間以上であり、
② 31日以上の雇用見込みがある場合
完全に在宅勤務のみとなる、または在宅勤務と出社勤務の両方が想定される等で、「出社勤務のみで要件①(週20時間以上の勤務)を満たせない場合」には、「在宅勤務実態証明書」の届出が必要になります。

「在宅勤務実態証明書」提出のタイミングと提出時必要書類

「在宅勤務実態証明書」は、雇用保険の被保険者資格を取得する場合、もしくは途中で在宅勤務に切り替わった場合に提出が必要です。雇用保険被保険者資格取得時の届出では、「雇用保険被保険者資格取得届」「在宅勤務雇用実態証明書」と併せて、以下の書類を添付します。

  • 就業規則、賃金規定
  • 労働者名簿(個人の管理台帳で採用日などが記載されているもの)
  • 賃金台帳(採用時から1ヶ月分)
  • 勤務実績が確認できる書類(採用時から1ヶ月分)
  • 雇用契約書

途中で在宅勤務に切り替わった場合には、資格取得届に代えて「資格取得確認通知書」の添付が求められます。
また、管轄ハローワークによっては「在宅勤務理由書」が必要になったり、賃金台帳・出勤簿の提出が1ヶ月分よりも多かったりすることもあるようです。いずれのタイミングで提出する際にも、あらかじめ提出先へ確認しましょう。

「在宅勤務雇用実態証明書」の記載事項を確認


出典:厚生労働省「「在宅勤務雇用実態証明書」提出時必要書類

「在宅勤務実態証明書」は、実態として「労働者性があるかどうか(雇用保険の被保険者となる対象労働者であるかどうか)」を確認するための書類です。
様式をみると、以下の関わる確認事項が網羅されていることが分かります。

✓ 指揮監督系統の明確性があること
✓ 拘束時間等の明確性があること
✓ 勤務管理の明確性があること
✓ 報酬の労働対償性があること
✓ 請負・委任的色彩が存在しないこと

万全ですか?多様な人材活用へのご対応

「在宅勤務」という新たな働き方の導入に際し、実務上、多岐に渡る検討や対応が必要となります。今号でご紹介した、「在宅勤務実態証明書」の提出もその一つで、現場においては忘れられがちなのでご注意ください。
話は逸れますが、在宅勤務に関連して、請負契約や業務委託契約の可能性に目を向ける現場も少なくありません。しかしながら、いわゆる労働者以外の人材を受け入れる場合、2024年秋施行予定のフリーランス新法を念頭に置いた対応を検討しなくてはなりません。在宅勤務の導入も、そしてフリーランス新法への対応も、専門家をご活用いただき、適正な仕組み作りを目指されるのが得策です。「ヒト」に関わるご相談は、お気軽に社会保険労務士までお寄せください!

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