「衛生推進者」の選任はお済みですか?従業員数10~49人規模の企業で業種を問わず選任義務あり

労働安全衛生法上、企業において安全衛生に関わる業務を遂行するために、事業主には事業規模や業種に応じて管理者等を選任すべき旨が義務付けられています。小規模企業では「ウチの会社には関係ない」と思われがちですが、従業員数10人から49人の事業場で事業所専属の安全衛生推進者または衛生推進者を選任しなければならず、注意が必要です

「衛生推進者」「安全衛生推進者」「安全推進者」とは?

企業における安全衛生管理体制は、下図の通り、整備しておく必要があります。事業規模、業種に応じて選任すべき管理者等は変わりますが、いずれの会社でも従業員数10人以上から選任義務が生じますのでご注意ください。10人に満たない場合は、事業主が現場の安全衛生管理に努めます。

ちなみに、ここでいう「従業員数」を判断するための「常時使用する労働者数」は、日雇労働者、パートタイマー等の臨時的労働者の数を含めて、常態として使用する労働者の数で考えます。


出典:京都労働局「事業場における安全衛生管理体制のあらまし

さて、従業員数10~49人の企業では、業種に応じて「衛生推進者」または「安全衛生推進者」の選任が必要です。さらに、上図「③その他の業種」に該当する企業では、ガイドライン上、衛生推進者と併せて「安全推進者」を選任するのが望ましいとされています。

「衛生推進者」と「安全衛生推進者」の違い

従業員数10~49人の企業で選任すべき「衛生推進者」「安全衛生推進者」について、それぞれの業務内容や選任要件を確認しましょう。

○ 業務
以下は、安全衛生推進者が取り組むべき業務です。衛生推進者は、これらのうち「衛生」に関わる部分のみ担います。
1. 労働者の危険又は健康障害を防止するための措置に関すること。
2. 労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
3. 健康診断の実施その他の健康の保持増進のための措置に関すること。
4. 労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。

○ 選任要件
安全衛生推進者も衛生推進者も、「学歴要件+実務経験」「実務経験」「所定の講習修了」等の要件を満たす者を選任します。実務経験については、安全衛生推進者であれば安全委衛生の実務、衛生推進者なら衛生の実務となります。
いずれも選任すべき事由が発生した日から14日以内に選任し、選任された者の氏名を作業場の見やすい箇所に掲示する等で周知します。届出は必要ありません。

衛生推進者選任事業所では、併せて「安全推進者」を推奨

「安全推進者」の選任は法律上の義務ではありませんが、安全管理者や安全衛生推進者の選任が義務付けられていない業種に属する事業場において、安全管理体制の充実、労働災害防止活動の実行向上、労働災害の減少を目的として、ガイドラインで選任が推奨されています。比較的新しい制度のため、ご存じない方も多いかもしれません。以下のガイドラインをご一読いただき、必要に応じて設置を検討しましょう。

参考:中央労働災害防止協会「労働安全衛生法施行令第2条第3号に掲げる業種における安全推進者の配置等に係るガイドラインの策定について

コロナ禍で定員削減!「安全衛生推進者」「衛生推進者」養成講習の受講申込はお早めに

従業員数10~49人規模の事業所において、安全衛生推進者もしくは衛生推進者の必要な選任がされていないケースが多く見受けられます。御社の安全管理体制に不足がある場合、早急に正しい形に整備されることをお勧めします。

現状、社内に安全衛生推進者もしくは衛生推進者となる者の要件を満たす方がいない場合、養成講習を修了することで選任できるようになります。養成講習は、都道府県労働局長の登録を受けた機関で随時実施されていますので、ぜひ探してみてください。ただし、新型コロナウイルス感染症の影響により、通常よりも少ない定員枠となっていますので、地域によってはすぐの受講が難しい場合があります。少し先の日程になっても、確実に受講できるよう、お早目にお申込みをされておくのが得策です。

現場においてはつい怠りがちな、各種推進者・管理者等の選任。しかしながら、御社の職場環境の改善、コロナ対策の積極的な検討等の必要な措置に目を向ける上では、安全衛生業務を中心になって行う担当者の存在を欠かすことはできません。現状、必要な推進者・管理者等を未選任の現場においては必ず選任し、万全な体制を整えましょう!

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