朝会社にやって来て一斉に仕事を始め、時間が来れば一斉に仕事を終える。それが当たり前だった日本のワークスタイルに、今変化が訪れています。在宅やモバイルワーキングが広まるその背景には、ネットワークの発達と同時に、現代日本が抱えている課題が垣間見れます。多様化していく働き方に対し、企業はどのような姿勢を求められているのでしょうか。今回は「現状を把握」することを中心においた記事にしていこうと思います。
【働き方改革】「変わる」必要に迫られる働き方
「男性が働き、女性が家庭を守る」「長時間労働が利益に直結する」いわゆるJAPAN AS NO.1 ※1のワークスタイルは現在機能しなくなっています。さらに「急速に進む少子高齢化(労働人口の減少)」と言う日本が直面する課題が存在するため、いま日本は「働き方の改革」への対応が「必然」の状態にあります。
少子高齢化が急速に進む日本では、労働者の数が足りなくなると随分昔から言われておりました。実際に居酒屋チェーンや牛丼チェーン店などのアルバイトは「需要と供給」が逆転し条件の良い会社への移動が始まっていますね。一般企業も同様に人材確保が困難になってきております。そのため求人コストが増加し収益を圧迫します。必要人員が集まらなければ想定の売上を達成できずに減収ということも考えられます。つまりこの課題は日本全国・どの企業においても考えなければならない全員の課題ということになります。その中で安部総理も訴える「女性の活躍」がつながるわけです。労働人口不足を補うためには、これまで数に入っていなかった層(つまり女性)を労働者として招き入れる必要がでてきました。女性の社会進出が増えた理由もここにあります。まだまだとはいえ、女性の社会進出、イクメンという言葉も生み出し「共働き」も増えました。それでもまだ足りない。まさにいまそのような状態であると言えます。
そこでさらに今後の課題として登場するのが「介護問題」です。詳しくはまた別の記事でご紹介させていただくとして、この問題によって40代から50代も昔のように長時間働くといったことが物理的にできなくなることが想定されております。(自宅での介護や送り迎えなど)そのため、対象としてはすべての社員が「有給や産休・育休・介護休暇」などを取りやすい環境、また労働時間に縛られず柔軟に対応できる在宅勤務体系やフレックスタイムの活用などを会社として積極的に対応することが競争力の源泉(つまり人)の獲得や成長に深く関わってくる時代になってきたことを理解する必要が有ります。
働き方(ワークスタイル)革命の実例
働き方に幅を持たせ、従業員が自分にとって働きやすい形を選択できるようにしている企業も増えてきました。働き方の多様化でも日本の先を行く外資系企業の事例がやはり多くなってしまうのはしょうがないところですね。具体的な企業名とともに見ていきましょう。
ヘアケア・スキンケア製品を中心に扱っている『ユニリーバ』では、WAAと呼ばれる新しい人事制度を導入しています。これは働く場所や時間を、社員本人が自由に選べるという制度です。まず上司に申請することで、自宅やカフェなど、会社以外の場所で働くことが可能になります。このとき理由は言う必要がありません。勤務時間や休憩時間も、朝6時から夜9時の間で自由に決めることができます。一部対象外の部署も存在しますが、期間や日数に関しても制限はありません。ユニリーバは突然このWAA制度を導入したのではありません。かなり早い段階からフレックスタイム制の導入や在宅勤務制度の見直しを行い、段階的にワークスタイル多様化のサポートを行ってきました。勤怠管理においても柔軟に対応する必要があるため、色々なデバイスでの打刻を可能にしているのかと推測されます。
グローバル企業である『P&G』も、ワークスタイル先進企業と言われています。在宅勤務や時短勤務を自由に組み合わせることができ、社員自らが働き方を選択できるようになっています。勤務時間は月間で管理されており、月の労働時間を満たすのであれば、早朝出勤、時間外出勤、平日代休で勤務時間を調整することができます。週に1度は在宅勤務を行ってもよいとされ、管理職などのトップが積極的に実行することで、制度の普及を促進しています。働く時間がバラバラでも、チームで連携が取れるよう、ビデオ会議やチャットなどが常時繋がるようにシステムも整えられています。
時間や場所に縛られない働き方
ワークスタイルを多様化させ、従業員に自由な働き方を提供するには、従来の企業が持ついろいろな制限を打ち破る必要があります。第一の制限は「時間」です。日本の企業の大半は、労働時間によってその人の評価を決定しています。一昔前は残業を多くこなす従業員が優秀であるとされ、現代でもその片鱗は企業体質のあちこちに見て取れます。限られた時間の中でどれだけ効率よく仕事をこなしていくか、という点に評価基準を移していく必要があるのです。
次に「場所」による縛りがあります。朝一斉に出社し仕事をスタートさせるのが当たり前であった日本ですが、例えば営業職などは朝会社に顔を出さず直接営業先に向かった方が効率的な場合が多くあります。また在宅勤務などで通勤時間をカットすることができれば、特に育児や介護を抱えている従業員などにとって非常に働きやすい環境を提供することができます。
おまけに「ITに関する制限」があります。セキュリティを重視するあまり、社内パソコンや社内モバイルを持ち出し禁止にすると、当然仕事の能率は下がります。ワークスタイル変革には、ITシステム構築は不可欠です。セキュリティを維持しながら効率よく社外で仕事を行えるようにするには、それに対応したシステムが必要になります。
多様化するワークスタイルを支えるには、システム構築を進めるのと同時に、複雑化する勤怠状況を企業の側が把握し、運用していく必要があります。勤怠管理のためのシステムは様々なものがありますが、自分の会社の特色に合わせて選択、運用していく必要があります。デスクトップPCをノートパソコンに全社員変えただけで業務の効率化が図れたといった(投資は必要ですが)簡単でわかりやすい事例もたくさんあります。システムを導入することに重きを置くのではなく、全員が「1時間あたりの業務効率化」「労働生産性の向上」を目指すことによって変革の余地は多く残されているように思います。
「働き方」と「勤怠」の関係、まとめ
日本はまさにいま岐路に立っています。しかも対岸の火事ではなく、全国民を対象とした変革のタイミングを迎えております。これを悲観するのではなく、改革していくことにより、ブータンではありませんが「日本の幸福度の向上」と「労働生産性の向上による企業収益の改善」が実現できる世界に変えていこうではありませんか!一気に人口動態は変えられませんが、企業の働き方や勤務体系、勤怠管理から業務の効率化(無駄の排除)など進められる部分は多く残されていると思います。伸びしろがあるということです。
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