協会けんぽ「生活習慣病予防健診」受診のススメ!定期健康診断との違いや予約方法など

御社では、雇入れ時及び年1回定期に、健康診断を行っているでしょうか?労働安全衛生法に基づく健康診断は、対象となる労働者に対して、会社規模を問わず事業主の義務として行わなければなりません。ところが、小規模事業場を中心に、意外と実施されていないケースも。「実はウチ、実施していない」という現場では、協会けんぽの「生活習慣病予防健診」の活用がお勧めです。2023年度より、協会けんぽによる補助率が引き上げられ、さらに使いやすくなっています。

小規模の会社では、定期健康診断を兼ねる「生活習慣病予防健診」の活用がお勧めです

「生活習慣病予防健診」とは、協会けんぽに加入する35歳以上74歳以下の被保険者に対して、年に一度、協会けんぽの補助を受けて受診できる健康診断です。
2023年度からは自己負担額が最高5,282円(2022年度までは7,169円)に引き下げられ、より一層使いやすくなりました。

労働安全衛生法の定期健康診断との違いは?

定期健診と生活習慣病予防健診との違いは、「検査項目」です。生活習慣病予防健診は、労働安全衛生法における健康診断の内容に加え、胃がんや大腸がん等のがん検査も含まれた健診となっています。つまり、生活習慣病予防健診を受診することで、労働安全衛生法上の定期健康診断を受診したことにできます。定期健康診断は全額会社負担で実施する必要があり、一般的な健康診断の受診料相場が10,000円前後ですから、会社にとっては生活習慣病予防健診を活用する方がコストを抑えられるというメリットがあります。

上記は「一般健診」、及び一般健診とは別に単独で受診できる「子宮頸がん検診」の内容です。このうち「一般健診」については、希望に応じて以下の付加健診を追加することもできます。付加健診部分については、労働者負担として問題ありません。

生活習慣病予防健診の予約・受診は難しくない

協会けんぽの生活習慣病予防健診を受診する場合、複雑な手続きは不要です。全国の実施健診機関に直接予約を入れ、受診するのみです。事業主経由での予約や、協会けんぽへの申込等は必要ありません。
その他、協会けんぽの生活習慣病予防健診の詳細は、以下をご確認ください。

参考:協会けんぽ「令和5年度用健診パンフレット

定期健康診断として協会けんぽ「生活習慣病予防健診」を活用する際の注意点

会社で行うべき定期健康診断として、協会けんぽの生活習慣病予防健診を活用することで、「健康診断費用を抑えられる」「より多くの検査項目について受診できる」といったメリットが期待できます。ただし、従業員へのアナウンスや実務上の取扱いでは注意すべき点もあります

補助対象となる年齢が決まっています

協会けんぽの生活習慣病予防健診は、受診料の補助対象となる年齢が決まっています(35歳以上74歳以下)。よって、35歳未満の労働者が受診を希望する場合、全額自己負担(18,865円)での受診となります。会社は、あらかじめ健診費用負担額の上限を決めて周知しておくことで、一定額以上の支出を抑えられる様にしておきましょう。ただし、この上限額については、協会けんぽの補助を受ける場合の生活習慣病予防健診の自己負担額(2023年度は最高5,282円)に合わせるのではなく、近隣の医療機関での健診費用相場を基準に設定します。

労働者には、健診機関選定の自由がある

会社の健康診断というと、会社が病院を指定して受診させるケースも少なくありませんが、労働者側には医療機関を自由に選択する権利があります。協会けんぽの生活習慣病予防健診は実施機関が決められていますが、労働者が実施機関以外の病院で実施する一般健診の受診を希望した場合、その意思を尊重しなければなりません。

検査項目の選択はできません

生活習慣病予防健診の一般健診項目は、いずれの検査項目も生活習慣病の予防に必要であるため、すべて受診しなければなりません。数ある検査項目の中から、本人の希望で項目を選択することは、原則としてできません。

定期健康診断実施のルールを定めよう

今号では、会社が実施すべき定期健康診断に置き換え可能な、協会けんぽ「生活習慣病予防健診」をご紹介しました。検査項目が豊富であることに加え、協会けんぽからの補助を受けて法定の健康診断に対応できますから、企業においては活用しない手はないでしょう。
ところで、健康診断の実施にあたり、現場ではあらかじめルールを決めておく必要があります。健診費用の支給上限額や交通費支給の有無、定期健康診断の受診時間を有給とするか無給とするか等、制度として定めておくべき事項は多岐に渡ります。「こんな場合はどうするのか」と判断に迷われる際には、労務管理の専門家である社会保険労務士までご相談ください。

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