4月1日一斉付与の現場は要確認!「年5日有休取得義務」への対応状況

早いもので、間もなく3月を迎えますね。新年度を目前に控え、毎年4月1日に年次有給休暇を一斉付与する会社では「年5日の有休取得義務」への対応状況を確認しておく必要があります。

2022年4月付与の有休に係る年5日取得義務への対応は、2023年3月末日までに

働き方改革の柱のひとつである「有休年5日取得義務」が、2019年4月1日より適用となってから早4年。各社、現場の有休付与サイクルに合わせた対応がなされているかと思いますが、一方で、まだまだ対応の漏れが散見されることも珍しくありません。とりわけ、毎年4月1日を一斉付与日としている企業においては、年度末・年度初めの繁忙期と重なることから意識的な取り組みが求められます。

タイトルの通り、2022年4月1日に10日以上の年次有給休暇を付与した労働者(管理監督者を含む)については、2022年度中、つまり2023年3月31日までに少なくとも5日の有休を取得させることが使用者の義務となります

御社の従業員の有休取得状況はいかがでしょうか?

「時季指定」「計画的付与」を行う場合は、あらかじめ就業規則への規定等が必要です

年5日の有休取得義務への対応は、「労働者自らの請求・取得」の他、「使用者による時季指定」、「計画的付与」のいずれかによって行います。これらのうち、「使用者による時季指定」「計画的付与」については導入に向けた準備が必要であるため、年度末までに対応が必要な対象者については、会社側から積極的な声かけをして、確実に取得してもらえる様にします。その上で、来年度以降の対応として「使用者による時季指定」や「計画的付与」の導入を検討し、必要に応じて準備を進めていくことになります。

「時季指定」を導入し、有休付与後、半年経過時点から確認・調整

「使用者による時季指定」とは、使用者が年5日の有休取得義務への責任を果たすために、時期を指定して労働者に有休を取得させる方法です。運用としては、基準日から一定期間が経過したタイミング(半年後など)で年次有給休暇の請求・取得日数が5日未満となっている労働者について、本人と協議の上、使用者から時季指定をするやり方が一般的です。


休暇に関わる定めは労働基準法第89条にある就業規則の絶対的必要記載事項であることから、「使用者による時季指定」を導入する場合、就業規則への明記が必要となります。記載に際しては、下記の点を盛り込み、不利益変更と捉えられない様な配慮が求められます。

* 時季指定の対象となる労働者の範囲(対象はあくまで、年10日以上の有休取得が与えられていてその取得が年5日に満たない者)
* 時季指定の方法(使用者が一方的に時季指定するのではなく、労働者の意見を尊重した上で手続きを進める)

以下は、厚生労働省が公開するモデル就業規則の記載例です。


出典:厚生労働省「年次有給休暇の時季指定_年5日の年次有給休暇の 確実な取得 わかりやすい解説

前もって計画的に休暇取得日を割り振る「計画的付与」

年次有給休暇の計画的付与制度(計画年休)とは、付与された有休のうち、5日を超える分について、あらかじめ企業が休暇取得日を割り振ることができる制度のことです
実例としては、全社もしくは班・グループ単位等で一斉休業日を設ける場合や、個人単位で夏季・年末年始等にまとまった休みを確保できるようにする場合等が想定されます。また、業務の閑散期に有休を割り振ることで、業務に支障をきたすことなく有休取得率を高めることも可能です。有休取得が個人の申請に委ねられていると、どうしても取得機会を逃してしまうケースもありますが、あらかじめ割り振られることで、労働者はためらいなく休むことができるようになり、会社としても確実な有休付与が実現します。

有休の計画的付与を導入するには、「労使協定の締結」と「就業規則への規定」が必要です
就業規則の規定に関しては、「5日を超えて付与した年次有給休暇については、従業員の過半数を代表する者との間に協定を締結したときは、その労使協定に定める時季に計画的に取得させることとする」等の条文を盛り込みます。以下は、「労働組合との協定」となっておりますが、条文例として参考になさってみてください。

労使協定には、主に以下の内容を盛り込みます。

  • 計画的付与の対象者(もしくは対象から除く者)
  • 対象となる年次有給休暇の日数
  • 計画的付与の具体的な方法
  • 対象となる年次有給休暇を持たない者の扱い
  • 計画的付与日の変更手続き

具体的な労使協定例は以下の参考URLよりご確認いただけます。

参考:兵庫労働局「年次有給休暇の計画的付与制度とは

従業員の有休管理は「ハーモス勤怠」で万全対応

2019年4月以降、「年5日の有休取得義務」と併せて、使用者には「適切な形での有休管理」への対応も求められることとなりました。具体的には、「年次有給休暇管理簿の作成」と「3年間保存」が挙げられます。複雑な有休管理は、クラウド勤怠管理システムハーモス勤怠 by IEYASUのご活用が便利です。各人の有給取得の状況、残日数の把握、自動付与設定等、有休管理に関わる必須機能をすべてご提供します。

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