【労働者派遣】平成30年10月1日以降にくる「抵触日」、正しく把握できていますか?

平成27年の労働者派遣法改正により、派遣スタッフの受け入れに「原則3年」の期間制限が設けられることになりました。改正法施行から3年が経過する今年10月以降、この期間制限に伴う抵触日が順次到来します

派遣業に関わる企業においては、秋以降、いよいよ具体的な対応が求められることになります。
準備は万全でしょうか?

注意すべき、2つの「抵触日」

改正労働者派遣法では、「事業所単位」と「個人単位」の2種類の期間制限が設けられています。

「事業所単位の期間制限」とは?

「事業所単位の期間制限」とは、「派遣先の同一の事業所において3年を超える継続した労働者派遣の受け入れはできない」旨の定めです。複数名の派遣労働者を受け入れている場合には、派遣元から派遣先への労働者受け入れ開始から3年を経過すると、後述する「個人単位の抵触日」を迎える以前の労働者についても当該派遣先での就労が不可能となります。

ちなみに、「事業所単位の抵触日」の起算日は、“平成27年9月30日以降に締結した派遣契約日”です。例えば下記の複数名をそれぞれ下記の期間、派遣スタッフとして受け入れた場合、

Aさん:平成27年7月1日~平成27年12月31日
Bさん:平成27年10月1日~平成28年3月31日
Cさん:平成27年12月1日~平成28年5月31日

事業所単位の期間制限の起算日はBさんの27年10月1日となり、抵触日は「30年10月1日」となります。

出典:厚生労働省「派遣先の皆さまへ

ただし例外として、派遣労働者の受け入れから3年を経過する日(抵触日)の一ヵ月前までに、派遣先が過半数労働組合等から派遣可能期間を延長するための意見聴取を行った場合、この期間制限をさらに3年延長できるようになっています。

「個人単位の期間制限」とは?

事業所単位の派遣期間制限に加え、「個人単位の期間制限」として、派遣先の同一の組織単位において、3年を超える同一の派遣労働者の受け入れができない旨が定められました。
ここで問題になるのが「組織単位」の定義ですが、具体的には「課」単位が想定されています。ただし、組織が変わっていても業務内容が変わっていない等、実態が伴っていない場合には、違反とみなされる点に注意が必要です。

出典:厚生労働省「派遣先の皆さまへ

個人単位の期間制限が設けられたことにより、平成30年度以降、「派遣切り」の件数が増加するのではないかと懸念されてきました。このあたりの実態は、今後統計などで明らかになってくるはずです。

参考:朝日新聞デジタル『派遣切り「2018年問題」にご注意を 法改正から3年

派遣先は、派遣労働者に対し「部署を変えても同一企業で長く働き続けたい」のか、もしくは「派遣先を変えても特定業務の従事にこだわって働きたい」のかをヒアリングし、派遣労働者のキャリア形成支援を踏まえた派遣先を用意できるよう努めることが重要です。

例外的に、派遣の期間制限対象外となる人たちとは?

本号でご紹介した「事業所単位」「個人単位」の期間制限について、対象外となる労働者・業務があります。

■ 期間制限の対象外となる者
・派遣元で無期雇用されている派遣労働者
・60歳以上の派遣労働者

■ 期間制限の対象外となる業務
・終期が明確な有期プロジェクト業務
・日数限定業務(1か月の勤務日数が通常の労働者の半分以下かつ10日以下であるもの)
・産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の業務

詳細は、下記の概要よりご確認いただけます。

参考:厚生労働省「平成27年労働者派遣法改正法の概要

労働者派遣法に定められる「労働契約申込みみなし制度」

平成27年10月1日より、新たに「労働契約申込みみなし制度」が施行されています。こちらも派遣関連の重要キーワードですので、「抵触日」と併せて確認しておきましょう。

労働契約申込みみなし制度

派遣先が違法派遣に該当することを認識しながら派遣労働者を受け入れた場合、原則、派遣先は派遣労働者に対して派遣元と同一条件での労働契約を申し込んだとみなす制度のこと。本号でご紹介した期間制限に違反して労働者派遣を受け入れている場合などは、本制度が適用されます。
派遣労働者は、みなされた日から1年以内に承諾の意思を示すことで、派遣先との間に労働契約が成立します(あくまで派遣労働者の承諾を要するもので、自動的に直接雇用が成立する、というわけではありません)。

出典:厚生労働省「労働契約申込みみなし制度の概要

3年前に話題となった改正労働者派遣法ですが、施行から丸3年を迎える今秋、再び注目されることになりそうです。「知らなかった」では済まされません。派遣に携わるすべての事業所においては必ず制度を正しく理解し、適切な運用を心がけましょう!

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ABOUTこの記事をかいた人

HM人事労務コンサルティング 丸山博美

起業したての小さな会社支援を得意とする社労士事務所、HM人事労務コンサルティング代表・丸山と申します。 創業当初の事業主様に不足しがちな「経験」「人脈」「知識」を、 社会保険労務士という立場からサポートいたします。 労務関連の手続きやご相談、就業規則作成、助成金申請・・・等々、どんなことでもお気軽にご相談ください!東京はもちろん、日本全国からのご依頼に対応させていただきます。