労働者派遣関連の施行規則、派遣元・先指針が2021年以降改正へ。見直しのポイントとは?

2012年、2015年と相次いで改正された労働者派遣法については、施行後の状況等を元に、目下、今後の労働者派遣制度の在り方に関わる検討が重ねられています。労働者派遣関連の施行規則や派遣元・派遣先指針については、このたび公表された「労働者派遣制度に関する議論の中間整理」にて、2021年以降に予定されている改正項目が明らかになりました。これを踏まえ、派遣元・派遣先が知っておくべきポイント2点を確認しておきましょう。

参考:厚生労働省「労働者派遣制度に関する議論の中間整理

2021年以降に予定される、労働者派遣関連の施行規則、派遣元・先指針の改正点

第303回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会(2020年7月14日実施)で確定された「労働者派遣制度に関する議論の中間整理」では、以下に関わる検討が挙げられました。

  • 労働者派遣事業の健全な育成について
  • 派遣労働者のキャリア形成支援について
  • 労働力需給調整機能の在り方について
  • 法令違反に対処するための措置について
  • その他の課題について
  • 今後の検討について

これらのうち、多くは「現行制度の維持」を基本としつつ引き続き検討を進めることとなりましたが、現在のところ、下記2点については明確に施行規則、派遣元・先指針の改正点として挙げられています。

◎ 派遣労働者を対象としたキャリアコンサルティングの内容について、雇入れ時の説明を義務付け
◎ 派遣労働者の苦情対応には、派遣先でも誠実かつ主体的に対応すべき

現場において対応すべきポイントとなりますので、早期に把握し、現行の取扱いを見直しておきましょう。

派遣労働者を対象としたキャリアコンサルティングの内容について、雇入れ時の説明を義務付け

まずは現状、派遣元事業主における教育訓練等の実施体制は整備されていると見られる一方、派遣労働者の実際の利用状況は低い水準にとどまることを鑑み、派遣労働者へのさらなるキャリア形成支援の充実が目指されます。
そのために、来年以降、派遣元事業主においては以下の措置を講じることとされます。

  1. 派遣元事業主が実施する教育訓練や希望者に対して実施するキャリアコンサルティングの内容について、派遣労働者に対する雇入れ時の説明を義務付ける。
  2. 厚生労働省において、派遣労働者のキャリアアップにつながるような教育訓練やキャリアコンサルティングの好事例を調査収集し、派遣元事業主等に周知する。

2015年9月の派遣法改正で義務付けられた「派遣労働者に対するキャリアアップ支援」については、派遣許可申請時に検討したはずのキャリアアップ計画が形骸化しているケースを散見します。現場においては、今一度、内容や実施状況を確認しておく必要があります。

派遣労働者の苦情対応には、派遣先でも誠実かつ主体的に対応すべき

また、派遣労働者の苦情対応については、派遣元事業主が窓口となっている例が大半となっていますが、派遣先の義務に関わる苦情については派遣先事業主が誠実かつ主体的に対応すべき旨が派遣先指針に明記されます。
派遣法に定める派遣元・先それぞれの義務・講ずべき措置については、下記の通りです。

出典:厚生労働省「派遣労働ハンドブック

派遣元・先がそれぞれの義務を把握し、双方で適切な対応ができるよう、必要に応じて派遣元・先の連携が可能となるよう、今のうちから体制を見直しておきましょう。

労働者派遣関連の施行規則、派遣元・先指針の動向を早めに把握することが大切

労働者派遣関連の施行規則、派遣元・先指針の改正はまだ少し先ですが、早めに動向を把握しておくことで、円滑な対応が可能となります。
また、2018年中に特定労働者派遣からの切り替えで労働者派遣許可を受けた派遣元においては、2018年から3年が経過する2021年中に順次、有効期間満了を迎えます。労働者派遣許可更新は、有効期間満了日の3ヵ月前までに済ませる必要がありますから、早期に準備に取り掛かりましょう。

派遣労働者の勤怠管理にも、無料のクラウド勤怠管理システムIEYASUが便利です!派遣先と派遣元間の一連の契約~勤怠~請求までの業務を効率化し、派遣スタッフの労務管理コスト削減が実現します^^

LINEで送る

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事