
厚生労働省が、モデル就業規則の2025年12月版を公開しました。
今回の改訂は、就業規則に必ず記載が必要な「絶対的必要記載事項」に関わる内容ではありませんが、より一層の働きやすさの実現に寄与するような、従業員に寄り添った休暇制度の導入を推奨するものです。ますます深刻化する働き手不足への対策として、検討されてみてはいかがでしょうか?
目次
モデル就業規則2025年12月版に追記された「裁判員等のための休暇等」
このたびのモデル就業規則改訂版には、第32条に「裁判員等のための休暇等」の規定、そして第5章解説に「その他の特別休暇」の紹介が追加されました。
第32条「裁判員等のための休暇等」
裁判員制度に関し、労働者が裁判員若しくは補充裁判員となった場合又は裁判員候補者となった場合、もしくは法定の選挙運動期間中に選挙運動を行う場合で労働者からその職務に必要な時間を請求されたときは、労働基準法第7条により使用者はこれを拒んではならないことになっています。これに対応するために、各事業場では、裁判員等のための休暇や立候補のための休暇を制度として導入し、社内ルールを整備しておくことが考えられます。モデル就業規則で示された規定例は、以下の通りです。

第32条第1項に関連して、労働者が裁判員の職務を行うために休暇を取得したこと、その他裁判員、補充裁判員、選任予定裁判員若しくは裁判員候補者であること又はこれらの者であったことを理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはならないことになっています。
また、第32条第2項に関連して、選挙運動の期間外に行う立候補に向けた準備については、労働者から必要な時間の請求があったとしても、労働関係法令上使用者は必ずしもこれに応じる必要はありません。しかしながら、事業場において任意に休暇の対象とすることも可能です。万が一の際に慌てることのないよう、あらかじめ、貴社の方針を検討されておかれることをお勧めします。
第5章解説「その他の特別休暇」
厚生労働省のモデル就業規則には、企業が任意に設ける休暇制度として、第29条「不妊治療休暇」、第30条「慶弔休暇」、第31条「病気休暇」、そして今回追加された第32条「裁判員等のための休暇」が規定されています。これらは法律によって義務とされている休暇ではありませんが、人材の確保・定着の観点において有意義な制度となり得ます。今回の改訂版で具体的に挙げられているのは、「ボランティア休暇」「ドナー休暇」「犯罪被害者等の被害回復のための休暇」「更年期症状による体調不良等のための休暇」の4つの休暇です。それぞれの休暇の概要について、確認しておきましょう。
- ボランティア休暇
労働者が自発的に無報酬で社会に貢献する活動を行う際、その活動に必要な期間について付与される休暇。ボランティア休暇制度を導入し、従業員のボランティア活動への参加を会社として支援することで、従業員のみならず、企業にもイメージの向上、人材育成、会社への帰属意識の醸成、貢献意欲の向上等の観点からメリットが期待できます。 - ドナー休暇
ボランティアとして無償で造血幹細胞を提供するドナーとして入通院(7~10日程度)で休む際、自身の有給休暇を使わずに「特別休暇」として休むことができる制度。本制度の導入によってドナーの就業上の心理的不安を減らし、造血幹細胞をより提供しやすい環境を推進することで、従業員エンゲージメントと満足度向上、企業イメージ・ブランド価値向上を図ることができます。 - 犯罪被害者等の被害回復のための休暇
犯罪行為により被害を受けた被害者及びその家族等に対して、被害回復のために付与される休暇。犯罪被害者等が仕事を続けるために、年次有給休暇だけではなく、被害回復のための休暇制度の導入が求められています。犯罪被害者等となった従業員に対し、休暇の取得が可能であることを周知することで、従業員は安心感をもって就業することができます。 - 更年期症状による体調不良等のための休暇
更年期症状による体調不良等の際に安心して仕事を休むことができるための休暇。労働者に長く安心して働いてもらうためには、ライフステージの変化に応じて柔軟に適用できる支援策の提供が不可欠であり、更年期離職防止策はその一環となります。
社内制度導入のポイントは「目的の明確化」「従業員ニーズの把握」「無理のない制度設計」
上記の他にも、従業員の働き方・休み方を改善するための特別な休暇制度は多岐に渡ります。具体的な制度の種類については、働き方・休み方ポータルサイトを参考にされてみてください。
また、新たに社内制度を導入する際は、以下の観点からの検討が不可欠です。
◎ どのような目的を達成したいのか
⇒従業員満足度の向上、離職率の低下、採用競争力強化、生産性向上等、様々な観点があります。
◎ 実際に制度を使う従業員が求めている内容か
⇒単なる経営陣の思い付き・思い込みによる制度ではなく、従業員の声が反映された、現場で求められている制度であることが重要です。
◎ 実際に制度を運用する上で無理がないか
⇒現実的に考えて、長期的に無理なく運用できる制度でなければ意味がありません。
また、社内制度として規定する際には、対象をごく一部の従業員に限定した制度は望ましくありません。
幅広く従業員に周知し、利用を促進できる制度を検討しましょう。

