【労働保険年度更新2025】「昨年度労働者数0人」の場合の申告方法

労働保険年度更新の準備は進んでいるでしょうか?申告書作成までの基本的な流れは理解できていても、少し特殊なケースにおいては「どのように処理するのが良いのか」と頭を悩ませるケースは少なくないようです。今号では、「昨年度労働者数0人」を想定した事例について解説します。

「昨年度労働者0人」なら、確定保険料は0円

昨年度、労働者を雇用していなかった場合の申告書の記入方法を確認しましょう。

出典:厚生労働省「令和7年度事業主の皆様へ(継続事業用)労働保険年度更新申告書の書き方

記入のポイントは以下の通りです。

  • 「常時使用労働者数」:実際は「0人」であっても、便宜上「1人」と記入します。
    ※労働者0人の場合、そもそも労働保険関係が成立しないため
    「雇用保険被保険者数」は実態通り、「0人」となります。
  • 確定の「労働保険料」:「0円」の計上で問題ありません。併せて、一般拠出金の欄も「0円」となります。
  • 「概算」の「労働保険料」:今年度新たに雇用する労働者の見込賃金総額から概算保険料を算出するのが原則ですが、不明の場合には「申告済概算保険料額」をそのまま記入することも可能です。

今年度雇用見込がなくても、今後雇用する可能性があるなら概算保険料を立てる必要あり

上記の通り、確定保険料は「0円」での申告が可能ですが、一方で概算保険料に係る0円申告は認められません。「概算保険料を立てない=事業廃止」とみなされ、労働保険を継続することができなくなる場合があります。よって、今年度の雇用見込がない場合でも、長期的に見て労働保険を継続すべきならば、少額でも概算保険料を立てて労働保険を継続させる必要があります。

ちなみに、以下の通り、廃止申告では概算保険料の欄を記入しません。

  • ③欄に事業廃止年月日を記入します。
  • 確定保険料算定内訳では、事業を廃止した日までの確定保険料を申告します。
  • ㉔欄の事業廃止等理由に該当するものに〇をつけます。

なお、労働者0名となり令和6年度内に事業廃止とした場合も、手続きを行わない限り、労働保険関係は継続されます。雇用保険適用事業所廃止届、および労働保険確定保険料申告書の提出を忘れずに行う必要があります。

関連記事:『【労働保険年度更新】労働保険の対象労働者が0人になっても、保険関係が当然に消滅するわけではありません

年度内に事業廃止予定の場合も、年度更新が必要です

前述の廃止申告は、「令和6年度内(つまり前年度)に事業廃止となった場合」の記入例でしたが、令和7年度(今年度)に事業廃止を予定している場合はどのような対応になるでしょうか?
この場合、概算保険料算定内訳では、令和7年4月以降、廃止する期間までに支払うことが予定される賃金総額の見込額を記入します。その上で、事業廃止後に、令和7年度確定保険料の申告を行う流れとなります。また、確定保険料の申告の結果、還付金が生じる場合には、「労働保険料・一般拠出金還付請求書」を管轄の労働基準監督署または労働局に提出します。申告書の提出だけでは還付されませんので、くれぐれも注意しましょう。

労働保険年度更新の「?」は、お気軽に社会保険労務士にご相談を

今号では、昨年度労働者数0人の場合の労働保険年度更新の対応方法について、今後雇用見込みがある場合と事業廃止の場合をそれぞれ解説しました。今回のように、通常の年度更新とは異なるケースでは、申告書作成時に迷われることもあると思います。そんな時は社会保険労務士にお気軽にご相談ください。なお、年度更新時期には、社会保険労務士が臨時保険指導員として労働局及び労働基準監督署で皆さまからのご相談を承っています。時期によっては混雑しますが、こちらの窓口もぜひご活用ください。

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