勤怠打刻ファースト

いよいよ動き出した、フリーランス保護のための法整備

企業とフリーランスとの間での取引においては、かねてより「報酬未払い」「不公平な取引条件」といったトラブル多発が問題視されており、取引適正化に向けた法整備の必要性が叫ばれていました。こうした状況を受け、政府はいよいよフリーランス保護のための新法案を公表し、すでにパブリックコメントの募集も終了しています。さっそく概要を確認しましょう。

フリーランスに業務委託を行う事業者が遵守すべき3事項

このたび公表された新法案において、フリーランスへの業務委託を行うすべての企業に対し、以下の3点の義務が課せられました

1.業務委託の開始・終了に関する義務

〇 業務委託の際の書面の交付等

〇 契約の中途解約・不更新の際の事前予告

2.業務委託の募集に関する義務

〇 募集の際の的確表示

〇 募集に応じた者への条件明示、募集内容と契約内容が異なる場合の説明義務

3.報酬の支払に関する義務

〇 事業者は、フリーランスに対し、役務等の提供を受けた日から 60 日以内に報酬を支払わなければならない。

一定期間以上の間の継続的な業務委託に際しての企業側の禁止事項

前項に挙げた3つの義務に加え、フリーランスとの一定期間以上の間の継続的な業務委託を行う事業者は、以下①~⑤の行為をしてはならず、さらに⑥⑦の行為によってフリーランスの利益を不当に害してはならないとされます

① フリーランスの責めに帰すべき理由なく受領を拒否すること
② フリーランスの責めに帰すべき理由なく報酬を減額すること
③ フリーランスの責めに帰すべき理由なく返品を行うこと
④ 通常相場に比べ著しく低い報酬の額を不当に定めること
⑤ 正当な理由なく自己の指定する物の購入・役務の利用を強制すること
⑥ 自己のために金銭、役務その他の経済上の利益を提供させること
⑦ フリーランスの責めに帰すべき理由なく給付の内容を変更させ、又はやり直させること

フリーランスへの配慮として、企業側が取り組むべき「就業環境の整備」についても明記

さらに、企業側がフリーランスに対して行うべき就業環境の整備として、「ハラスメント対策」「出産・育児・介護への配慮」が挙げられています

◎ ハラスメント対策
事業者は、その使用する者等によるハラスメント行為について、適切に対応するために必要な体制の整備
その他の必要な措置を講じるもの等とする。
◎ 出産・育児・介護との両立への配慮
事業者は、フリーランスと一定期間以上の間継続的に業務委託を行う場合に、フリーランスからの申出に応じ、出産・育児・介護と業務の両立との観点から、就業条件に関する交渉・就業条件の内容等について、必要な配慮をするもの等とする。

 

参考:厚生労働省「第52回労働政策審議会雇用環境・均等分科会_【資料4-2】「フリーランスに係る取引適正化のための法制度の方向性」について

法制化に備え、改めて見直すべきフリーランスへの対応

働き方改革の追い風を受け、フリーランスとしての働き方が一般的なものになりつつある今、企業におけるフリーランス活用がぐんと進んでいます。フリーランスへの対応には、自社雇用の従業員と異なる点がいくつもありますが、今後法制化されるフリーランス保護の概要を踏まえて適切に対応できるようにしましょう。