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「給与のデジタル払い」 指定資金移動業者が3社に!企業における導入の現状は?

2023年4月に給与のデジタル払いが解禁、その後2024年8月9日に初の指定資金移動業者としてPayPay株式会社が認可を受けて以降、給与支払方法の新たな選択肢が広く認識され始めています。今号では、3社目となる指定資金移動業者の情報、さらに給与のデジタル払いの現状をご紹介しましょう。

3社目の指定資金移動業者は「楽天ペイ」

2025年3月19日、給与のデジタル払いにおける指定資金移動業者として、楽天Edy株式会社(楽天ペイ)が新たに指定を受けました。PayPay株式会社(PayPay)、株式会社リクルートMUFGビジネス(COIN+)に続き、3社目の指定となります。
楽天Edy株式会社(楽天ペイ)では労働者指定口座残高の受け入れ上限額が「10万円」と、PayPay(20万円)やCOIN+(30万円)と比較すると低額となっています。まずは楽天ペイメント株式会社の労働者向けに2025年3月以降にサービス開始予定、その他の労働者向けには準備が整い次第、開始予定です。

現状、指定申請のあった資金移動業者4社のうち、3社について指定が行われたことになります。残る1社については、現在審査中とのことです。

参考:厚生労働省「資金移動業者の口座への賃金支払(賃金のデジタル払い)について_指定資金移動業者一覧

給与のデジタル払い 企業においては導入に慎重な姿勢

指定資金移動業者が着々と数を増す中、現場における導入状況はどのようになっているのでしょうか?現状、ソフトバンクグループ各社でPayPayによる給与支払い、給与支払サービス「Airワーク 給与支払」を利用する企業で「COIN+(コインプラス)」を組み込んだスマホアプリ「エアウォレット」での給与支払いの導入を筆頭に、少しずつ導入が進んでいるようです。一方で、導入に慎重な姿勢をみせる企業がまだまだ大半を占める実情もあります。

帝国データバンクによる調査対象企業の約9 割が「導入予定なし」

帝国データバンクが2024年10月に実施した「企業における賃金のデジタル払いへの対応」についてアンケートによると、給与のデジタル払いの「導入に前向き」な企業は 3.9%と低水準だった一方、「導入予定はない」は 88.8%と9割近くにのぼったことが分かりました。

期待されるメリットの一方、導入に際しては「メリット以上のハードルがある」というイメージ

導入に前向きな理由としては「振込手数料の削減」や「従業員の満足度向上」の他、日払いや前払いのしやすさなど「事務手続きの削減」が挙げられています。一方で、導入に際しての課題として、デジタル払いと口座振込の二重運用や労使協定の改定などの「業務負担の増加」、「制度やサービスに対する理解が十分でない」、「セキュリティ上のリスクを懸念」、さらに人事給与システムの改修などの費用を含む「コストの増加」等があるようです。

参考:帝国データバンク「企業の「賃金のデジタル払い」対応状況アンケート

給与のデジタル払い まずは制度やメリット・デメリットを正しく理解

昨今のキャッシュレス化の波に後押しされ、普及が期待された給与のデジタル払いですが、意外にも慎重な姿勢を見せる企業は多いようです。給与のデジタル払いには、前述の通りメリット・デメリットの両方が想定されますが、導入に後ろ向きな企業においては、そもそも制度自体をよく分かっていなかったり、何となく「給与支払業務が複雑化するのではないか・・・」という漠然とした不安を抱えていたりするケースも珍しくありません。
会社として新たな制度を導入すること、特にお金に関わることで、となると、なかなか高いハードルに感じられるかもしれません。しかしながら、キャッシュレス社会はすでに広がりつつある現状を踏まえれば、時代に合った給与支払の方法に目を向けることも求められるでしょう。「よく分からないから」「大変そうだから」導入しないのではなく、給与のデジタル払いの制度を正しく知った上で、企業として導入の可否を判断する姿勢が重要です。