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【ソーシャルキャピタルとは】人々の関係性や繋がりは組織の重要資源

近年、企業の人事労務管理の上でも、「ソーシャルキャピタル」という言葉が持ち出されるようになりました。ソーシャルキャピタルとは、人と人との関係性や繋がりを、資源としてとらえて評価する考え方です。
企業や組織を運営する際の資源としても「ソーシャル・キャピタル」が重要視されています。本記事では、ソーシャルキャピタルの概要と、企業におけるソーシャルキャピタルの意義、その醸成のために取ることができる手段についてご説明します。

ソーシャルキャピタルとは


出典:厚生労働省「資料7 ソーシャル・キャピタル

ソーシャルキャピタルとは、信頼や規範、ネットワークなど、社会や地域コミュニティにおける人々の相互関係や結びつきを支える仕組みの重要性を説く考え方のことです。日本語では「社会的資本」「社会関係資本」と訳されます。物的資本 (Physical Capital) や人的資本 (Human Capital) などと並ぶ新しい概念として定義されています。

アメリカの政治学者ロバート・パットナムは、『信頼・規範・ネットワークが重要な社会的仕組みの中では、人々が活発に協調行動をすることによって、社会の効率性を高めることができる』とし、それがソーシャルキャピタルの概念となりました。

なぜソーシャルキャピタルが企業においても重要視されるのか?

近年、ソーシャルキャピタルを重視する企業が増えています。なぜなら、ソーシャルキャピタルが高い企業や組織ほど、事業などを円滑・効率的に進めやすいからです。

企業におけるソーシャルキャピタルは、社会的責任として社会的貢献活動を行う場面で深く関わります。たとえば、「A企業は地域住民との関係が良いが、B企業は良くない」という場合、A企業のほうが「ソーシャルキャピタル」が高く、B企業は低いと言えます。同じ事業を地域で行う際、信頼関係を築いたA企業のほうが事業が円滑に進みやすくなります。

また、組織内においても小さな社会が存在するので、ソーシャルキャピタルはが生まれてきます。ソーシャルキャピタルが醸成されていれば、「同僚から自発的に手助けが得られる関係」「職場内で自身の状況を正しく理解してもらえる関係」「職場ルールを正しく共有できている関係」を職場内で築くことができ、組織を円滑に運営する為のインフラとしてもプラスに機能します。

「ソーシャルキャピタル」は、以前から「人脈」や「協調性」「チームワーク」という言葉でビジネスの場で評価されてきました。企業や組織にとって有益に働く「ソーシャルキャピタル」は、時代を問わずどんな業種の企業や組織であっても重要だと言えるでしょう。

企業のソーシャルキャピタルを高めるために

企業や組織が「ソーシャルキャピタル」を高めるには、どうすれば良いでしょうか。

企業内のソーシャルキャピタルを高めるためには、人事上の工夫や、各人の適正の見極めなどが考えられます。外部との繋がりを発展させるためには、日頃からの信頼関係づくりが必要です。人脈を持っている人を組織に呼び込むという手も考えられます。社会に対する信頼関係という観点からは、法令遵守や説明責任、社会貢献活動など、社会の要請に誠実に応える体制づくりが必要です。

ソーシャルキャピタルは社会の様々な関係性を指すため、それを高めるためにできる手段も様々です。企業として戦略的に向上に取り組む場合は、どのような関係性を発展させたいか考え、手段を明確にする必要があります。

ソーシャルキャピタルの醸成には時間が必要

ソーシャルキャピタルが「社会の中の関係性」である以上、それはすぐに高まるものではありません。しかし、普段から高める努力をしておくことで、徐々に企業の内外で「助け合い」や「融通をきかせる」「信頼して任せる」という行動が取りやすくなっていきます。日頃からソーシャルキャピタルを高めるための工夫や方策を、地道に続けていくことが重要です。

●人事異動やジョブローテーション
●オフィスレイアウトの工夫する
 ・フリースペースを用意する
 ・デスクの配置を変え顔が見えるようにする
 ・席替えを定期的に実施する
●メンター制度や面談等によるコミュニケーションの機会を設ける
●社内レクリエーションを活性化させる
 ・社内報の発行
 ・社内イベントの開催
 ・社内部活・コミュニティ

ソーシャルキャピタルを高めることは、様々な利益につながる

ソーシャルキャピタルは、企業や組織、個人が持つ「資源」です。ソーシャルキャピタルを高めるための様々な方策を実施していくことは、長期的な視点で見たとき、様々な利益につながります。

そのためには、日頃から自分たちの持つソーシャルキャピタルを把握しておく必要があります。ソーシャルキャピタルの概念を理解し、意識することが、ソーシャルキャピタルという「資源」を有効に活用するための第一歩となります。