従業員の通勤及び仕事中の自転車使用に際し、会社として必要な安全管理、適切な注意喚起ができているでしょうか?自転車運転にまつわる法改正といえば、2024年11月の危険運転に対する罰則強化が記憶に新しいですが、さらに2026年4月1日からは「青切符制度」が導入予定となっています。企業として、従業員に対する周知を徹底し、改めて安全運転への意識向上を促しましょう。
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2026年4月1日施行 自転車の交通反則通告制度(青切符)導入
自転車の一定の交通違反に交通反則通告制度を導入すること等を内容とする「道路交通法の一部を改正する法律」(令和6年法律第34号)が、2026年4月1日から施行されます。交通反則通告制度とは、運転者が一定の違反行為をした場合、一定期間内に反則金を納めれば、刑事裁判や家庭裁判所の審判を受けないで事件が終結されるという制度で、すでに自動車の交通違反処理として導入されています。本制度の導入によって、現行の自転車交通違反に際して問題視されている手続的な負担の軽減、及び違反者に前科がつくことをなくしつつ、実効性のある責任追及が可能になるとされています。
自転車の交通違反に「青切符」が導入されることで、具体的に何が変わる?
具体的に、2026年4月以降の自転車の交通違反処理の流れを確認しましょう。
自転車の交通違反に対しては、指導取締りとして「指導警告」を実施することとし、特に交通事故の原因となり得る「悪質・危険な違反」に関しては検挙対象とされるといった基本的な考え方は、従来通り維持されます。2026年4月以降何が変わるかというと、「検挙後の手続き」です。
自転車の交通違反に、赤切符一択の問題点
検挙後の手続きとして、自転車の交通違反の場合、従来は「赤切符」等による刑事手続のみとされていました。しかしながら、こうした刑事手続による処理では取締り時の書類作成、取調べのための出頭が必要であり、青切符に基づく自動車の違反処理と比べて時間的・手続的な負担が大きいこと、さらに、検察に送致されても不起訴とされ、実態として違反者に対する責任追及が不十分であることが問題となっていました。
青切符の導入により、自転車による反則行為への手続負担が軽減
こうした状況を踏まえ、このたびの法改正では、赤切符での違反処理を「重大な違反や事故を起こしたとき」に限定し、16歳以上の者が行った自転車の「反則行為」に対しては以下の通り、青切符による処理を行うこととなります。
なお、16歳未満の者による違反は、原則として指導警告の対象となります。
青切符により検挙される主な違反及び反則金としては、「信号無視」6,000円、「右側通行」6,000円、「携帯電話使用等(保持)」6,000円等が挙げられます。詳細は、以下の参照URLよりご確認いただけます。
図の出典及び参照:警察庁「自転車を安全・安心に利用するためにー自転車への交通反則通告制度(青切符)の導入ー」(自転車ルールブック)
2026年4月の法改正施行以降も、赤切符での違反処理となる例
一方で、青切符ではなく、従来通り刑事手続による処理が行われる例を確認しておきましょう。
① 重大な違反(反則行為の対象外の違反)をしたとき
・酒酔い運転(アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態で自転車を運転する行為)
・酒気帯び運転(血中0.3mg/ml又は呼気中0.15mg/l以上のアルコールを保有して自転車を運転する行為)
・妨害運転、携帯電話使用等(交通の危険)
② 交通事故を起こしたとき
反則行為を行い、これを原因とする交通事故を起こした場合は、これまでと同様に刑事手続により処理されます(法第125条第2項第3号)。
③ 住所・氏名を明らかにしないときや、逃亡したとき
反則行為をして、警察官によって検挙されたものの、現場において、自らの住所・氏名を明らかにしないときや、その場から逃亡したときには、これまでと同様に刑事手続により処理されます(法第126条第1項第1号、第2号)。
④ 反則行為の成否について争うとき
反則行為をしたとして検挙されたものの、反則行為をしていないとして、その違反の成立を争うことができます。その場合は、反則金を納付せず、刑事手続に移行します。
業務使用時の自転車事故に備え、事業者向け自転車保険の加入を
今号では、2026年4月以降、自転車運転に導入される交通反則通告制度(青切符)を解説しました。通勤や業務に自転車を利用する従業員に対しては、この機会に今一度、自転車の安全運転を呼びかけましょう。
また、自転車を業務使用する事業所において必ずご確認いただきたいのが、「事業者向けの自転車保険」への加入状況です。現状、自治体ごとに個人の自転車損害賠償責任保険への加入義務化が進んでいますが、個人向けの保険では業務中の事故への対応はできませんので、くれぐれもご注意ください。