勤怠打刻ファースト

【休憩時間に関するNG対応】この社内ルール、法律的にOKなの?

社内ではすっかり当たり前になっている就業ルールでも、よくよく考えてみると「これって法律的にOKなの?」と疑問に思うことはありませんか?
働いているあなたにも会社にも、思いがけない損益が被ってしまうようなことは避けたいところです。
今号では「休憩時間」にまつわる取扱いについて、よくある具体的な事例を紹介いたします。

Q1:「休憩をとらずに早上がり」、これってOK?

 例えば、お子さんを保育園に預けながら働くママさんパートタイマーのケースです。「休憩時間はいらないから、その分早く帰宅して、お迎えの時間に余裕を持ちたい」というママさんは少なくないと思います。もしも従業員からこうした要望が出た場合、会社はどう対応するべきなのでしょうか?

A1:労基法には従わなければなりません!

 たとえ労使の合意がある場合でも会社は労働基準法34条の定めに従わなければなりません。つまり、どんな事情があっても「実労働時間が1日6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は60分の休憩」を「労働時間の途中」に与えなければならないということです。仮に休憩をとらない働き方が事業所内で恒常化しているならば、会社は使用者責任として「休憩をとるように注意喚起する」もしくは「休憩をとらずに済む実働6時間以内の勤務パターンの創設を検討する」等、必要な措置を講じなければなりません。

Q2:残業が長引いてしまう・・・休憩は別途与えるべき?

 現状、フルタイム勤務の従業員については「所定労働時間8時間、休憩1時間」の労働時間を設定している会社がほとんどでしょう。しかし、常に所定労働時間を超える残業が生じているケースも珍しくないのではないでしょうか。このような場合、残業が長時間に及ぶことに伴い追加で休憩を与える必要はあるのでしょうか?

A2:追加の休憩は無くても良いけれど、工夫は必要

 労働基準法34条では「実労働時間が1日6時間を超える場合は45分、8時間を超える場合は60分」の休憩を与えていれば違法とはなりませんただし、これはあくまで最低限の取扱いです。会社は実務上、残業が長時間に及ぶ従業員に対しては適宜休憩を与え効率を損なわず安全に勤務するための工夫を施すことが望ましいと言えます。
 また、会社によっては、長時間残業に伴う追加休憩に関わるルールを定めている場合もあるようです。ただしこの場合、同時に、労働時間の長時間化が恒常的とならぬような施策を検討することを忘れてはなりません。

Q3:休憩中の社員の外出について、制限することはできる?

 休憩時間を会社外で自由に過ごせるようにしておくと、どうしても午後の就業開始時刻に間に合わない従業員がちらほら出てくるものです。いっそのこと「原則、社内で休憩すること」を社内ルールに盛り込みたい場合、こうした取扱いは法律上問題となるのでしょうか?

A3:休憩時間の外出規制は可能!しかし制限のデメリットも理解するべし

 労働基準法では「休憩時間の自由利用」を掲げつつも、行政解釈では「事業場内において自由に休憩しうる場合には、外出規制を設けることは必ずしも違法とならない」(昭23.10.30基発1575)とされています。つまり、「従業員が労働から解放されて休憩できる状況であれば、外出を制限しても直ちに問題となることはない」というのが法律上の解釈です。
 しかしながら、「リフレッシュするために、休憩時間くらいは職場を離れたい」「社内で休憩しても、休んだ気にならない」という従業員の声が挙がるかもしれません。また、会社として休憩場所の確保が困難な場合があったりする場合などもあるでしょう。そのような場合、休憩時間の外出規制は容易にルール化できるものではありません。
 現状、休憩時間の外出について不都合が生じている場合の企業はどうすれば良いのでしょう。直ちに全従業員に対して休憩時間中の外出を制限するのは得策とは言えません。まずは不適切な状況について都度注意を徹底し、それでもなお改まらない場合には懲戒の対象とする等の検討を進めることをおすすめします。

本号では、休憩時間の取扱いについて、よくあるご質問を元に具体的な事例をご紹介しました。その他、ご相談やご質問等ございましたらお気軽にお問い合わせください。